プロセス軸では、検査工程をAIで省力化する目視検査ソリューション「AI Visual Inspection」をアピールした。「AI Visual Inspection」は、「RAPID機械学習技術」を活用して、対象の製品画像をもとに、正確で高速な画像検査を実現するというものだ。
同ソリューションは、まず製造現場の検査工程にある製品を撮影し、撮影した画像データをNECのIoT基盤で構築したクラウド内に保存。この画像データを用いてクラウド側のAIが、製品の良品および不良品の特徴量を自動的に抽出、分析(学習)し、この結果から良品と不良品を判定するモデルを作成する。このモデルを現場の端末に配信し、モデルに基いて製品の良品と不良品の判定を1個数秒程度で行うというものである。
製造現場における検査工程は人の力によるものがまだまだ多く、将来的な全工程トレーサビリティー時代を見据えた場合、検査の自動化領域拡大へのニーズは高い。ただ、今回の「AI Visual Inspection」については「完全に自動化するという使い方ではなく、見るべきポイントを示し、人の判断を助けるというような使い方を想定している」(ブース担当者)。
その他、「AI Visual Inspection」と同様に「RAPID機械学習技術」を使ったAIソリューションとして、AIを仕分けに活用した画像検査ソリューションなども参考出展している。会場では、ネジとクギの仕分けを学習して、見極めるというデモを行っていた。「仕分けや検査などでも簡単に活用可能で、中堅中小製造業などにも提案を進めていきたい」(ブース担当者)。
一方、NECの独自技術である「物体指紋認証技術」の活用も進化させている。DMS2016ではプリント基板の側面の「物体指紋」を認識するデモを行っていた※)が、今回は物体指紋認証技術により個体認識できる意義をあらためて強調したデモを行った。
※)関連記事:NECが福島で実証中の「物体指紋認証」とは、プリント基板を横から見ると……
具体的には、ある工場で加工された金属部品を別工場に運び、リングをはめる組み立て工程を行うという流れを想定。金属部品は温度や加工環境などで変化しやすく、公差の範囲内では全ての部品が良品として出荷される。しかし、他の金属部品と組み合わせる際に、公差の範囲内でもそれぞれの組み合わせによっては、うまくはまらないケースなども出てくる。これを、金属部品の物体指紋を認識し個体を識別することで、最適な組み合わせを判別でき、品質向上や歩留まり向上に貢献するという仕組みである。「物体指紋の活用も単純な個体管理だけでなく、品質向上や歩留まり向上などにもつなげられる実践的な提案に広げることができている」とブース担当者は述べている。
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