NECのユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」では、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によるモノづくり革新を実現する「NEC Industrial IoT」の進捗状況を紹介。自社実践例も含めてIoTで真に価値を生む3つのポイントについて紹介した。
NECはユーザーイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」(東京国際フォーラム、2016年11月1〜2日)において、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)によるモノづくり革新を実現する「NEC Industrial IoT」の進捗状況を紹介。自社実践を含めて成果が出始めていることを訴えた。
NEC Industrial IoTは、IoTを活用した次世代モノづくりの実現に向け、同社のソリューションを体系化し、一貫提供できるようにするものである※。今回、NECではモノづくりにおけるIoTの価値についてあらためて3つのポイントに絞り、提案を行った。
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インダストリー4.0をはじめとして、製造業におけるIoTの価値といえば、まずは「見える化」だといわれている。IoTによりモノとモノ、モノと人がコミュニケーションできるようになり、機械に備え付けたセンサー情報を吸い上げて、これらの稼働情報や作業内容などの情報をリアルタイムに近い形で取得できるようになる。こうした現場情報を吸い上げる仕組みを導入してまず、現場の状況が見えるようにしようというのが「見える化」である。しかし「IoTではまず見える化」ということがよく言われるようになり、そこが目的化してしまっているケースも見られるようになってきた。
NECでは「あくまでも見える化はまだ手段であり、IoTを活用して見える化を実現してもそこで価値が生まれるというものではない。その先にどういう価値を生み出すかということが重要である」(NEC)とする。こうした中でNECでは、IoTを工場で活用することで得られる具体的な価値として「KPI(重要業績評価指標)の管理」「異常の把握」「効率化」の3つを示し、これを実現するための手法としてソリューションを提示している。
「KPIの管理」と「異常の把握」は「数値を見える化することにより、PDCAサイクルをどのように回して改善していくのか、という見えた後の行動が重要になる」(同社)とする。KPIを示しその後のアクションにつなげやすい、管理システムなどを提案。さらに同社では以前から、ICT(情報通信技術)ソリューションとともに自社の製造業としてのノウハウを組み合わせた「ものづくり共創プログラム」を進めてきたが「製造業としてどのようにPDCAを回していけば、KPIを達成できるのか」などのノウハウを組み合わせたソリューションを提案していくという。
こうした取り組みは、NECネットワークプロダクツ福島工場をはじめ、既にNEC内の工場で自社実践を行っている状況で、実践により成果が出たものを外部に提案していく方針である。同工場では実際にKPIとして「生産実績」「ライン稼働率」「サイクルタイム」「不良数」をKPIと定め、その数値をリアルタイムに近い形で管理しているという。また「異常の把握」についても同様で、「直行率」「吸着ミス回数」「ガス濃度」などを指標として、遠隔監視を行っている。
「異常の把握」については、遠隔監視を実現するシステムの他、点検書や、異常発見時の報告書などが自動で発行されるようなシステムなども提案する。
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