NVIDIAが自動車メーカーやティア1サプライヤーに提供するのは、自動運転用コンピュータの「DRIVE PX」「DRIVE PX2」と決め打ちで発表されているが、インテルのアプローチは異なる。大野氏は「自動車メーカーごとに要求は違うので、『われわれはコレで勝負する』と明確にするのは難しい。他社と同じものは使いたくないという声もある。公道試験で走ってみることで見えてくる本当に必要な性能もある」と説明した。
コンチネンタルから自動車メーカーへは「インテルのプラットフォームを、コンチネンタルが拡張して提供していく」(大野氏)という。自動運転向けのプラットフォームは「Intel GO」として既に2017年1月に発表している。Intel GOはあくまで開発用で、消費電力の面で量産車にそのまま搭載するのは難しそうだが、ドライバーによる運転が不要なレベル5の自動運転までカバーする。
Intel GOは低消費電力のIntel Atom プロセッサ、もしくは高パフォーマンスのIntel Xeon プロセッサを、FPGAのIntel Arria 10と組み合わせたもの。ソフトウェア開発キット(SDK)も提供しており、画像認識技術やディープラーニングのアルゴリズムをコーディングを支援、FPGAを設計しやすくする。
GPUに対して優位に立つ武器は消費電力だという「FPGAはアプリケーションに合わせて最適化できるからこそ、消費電力を抑えられる。インテルはCPUとFPGAをトータルで提供できるのも強みになる」(日本アルテラ 社長の和島正幸氏)。
Intel GOには自動運転車で発生するデータを収集・処理するデータセンターの技術や、データの収集やセンターで処理した後の車両へのフィードバックまでを担う5Gのプラットフォームも含まれる。
プラットフォームに含まれる画像認識については、車載カメラで強みをもつモービルアイだけでなく、Movidiusなど複数の企業を買収。また、ミリ波レーダーやライダーについても「センサーメーカーとも協力関係を結んでいる。今後も関係は進んでいくだろう」(大野氏)という。
CPUやFPGA、物体認識のセンサーのアルゴリズムまで「オプションをいろいろ用意して、自動車メーカーやティア1サプライヤーが選んで評価できるようにする。その上でさまざまな要求に応える」(大野氏)というのがインテルの自動運転に対する姿勢だ。
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