トヨタ自動車新社長の近健太氏は「稼ぐ力」を強化へ、佐藤恒治氏は“CIO”に製造マネジメントニュース

トヨタ自動車は、2026年4月1日付の役員人事を発表した。執行役員CFOの近健太氏が社長CEOに就任し、代表取締役社長CEOの佐藤恒治氏は代表取締役副会長および“CIO”に就任する。

» 2026年02月09日 06時15分 公開
[安藤照乃MONOist]

 トヨタ自動車は2026年2月6日、同年4月1日付の役員人事を発表した。

 現在、執行役員CFOを務める近健太氏が社長CEOに就任する。一方、代表取締役社長CEOの佐藤恒治氏が代表取締役副会長および新設するCIO(Chief Industry Officer)に就任する。代表取締役会長の豊田章男氏は続投。また、佐藤氏は同年6月の定時株主総会後をもって取締役から退任する予定だ。

代表取締役社長CEOの佐藤恒治氏(左)と執行役員CFOの近健太氏(右)。2026年4月1日付で近氏が社長CEOに就任する 代表取締役社長CEOの佐藤恒治氏(左)と執行役員CFOの近健太氏(右)。2026年4月1日付で近氏が社長CEOに就任する[クリックで拡大]

 近氏は1991年の入社以降、経理本部の要職を歴任するなど、経理畑を歩んできた。2020年からはCFOに就任し、コロナ禍や半導体不足といった事業環境下で、同社の収益構造改善や財務基盤の構築をけん引してきた。また、2023年からはソフトウェア開発子会社のウーブン・バイ・トヨタの取締役CFOを務めており、グループ内別会社の視点からトヨタ自動車を見つめ直してきた経験も持つ。

 佐藤氏と近氏は2026年2月6日、トヨタ自動車のオウンドメディアを通じて記者会見を行った。佐藤氏によれば、今回の役員人事は、佐藤氏自身が社外(産業全体)、近氏が社内(経営)へと軸足を明確に分けるためのフォーメーションチェンジだという。

トヨタ自動車の佐藤恒治氏 トヨタ自動車の佐藤恒治氏

 佐藤氏は「トヨタ自動車は今、経営課題に直面している。社内においては、 今後モビリティーカンパニーとして競争力を高めていくために、良品廉価の追求と財務体質の強化が不可欠である。その一方で、 日本の自動車産業が国際競争で生き残る勝ち筋を見つけるには、個社の枠を超えた連携が急務である。この2つを(近氏と)役割分担することで、経営のスピードを上げ、トヨタと産業双方の未来に向けた取り組みを加速させていく」と語った。

 佐藤氏は2026年1月から日本自動車工業会(自工会)会長に就任し、2025年5月からは経団連副会長も務めている。同氏は、現職のまま業界連携を主導することが「トヨタへの協調圧力」と捉えられかねないと懸念。あえてトヨタ自動車トップから退くことで、より中立的な立場から政策提言や協調領域の具体化に軸足を置くと説明した。

財務体制を強化し、次世代技術に向けた投資基盤に

トヨタ自動車の近健太氏 トヨタ自動車の近健太氏

 社長のバトンを受け取る近氏は、企業成長の要として「財務体制の強化」と「損益分岐台数の改善」に注力する方針を示した。

 「ウーブン・バイ・トヨタでは、ハードウェアとは異なるアジャイルな開発手法や、徹底した情報共有と瞬時の意思決定が行われるスピード感を肌で感じられた。トヨタを一度外部から客観的に観察できた経験を生かし、変化の激しい事業環境下での意思決定と実行スピードをさらに加速させていく」(近氏)。

 ミッションである稼ぐ力の強化について、近氏は「単なる利益追求ではなく、よりよいクルマを作るための投資基盤の確立である」と強調した。「ウーブン・バイ・トヨタなどとの連携を深めつつ、彼らが取り組む次世代技術への投資原資を確保する役割を担っていく。また、足元の課題としては損益分岐台数の改善がある。どのような環境変化があってもしっかりと利益を出せる収益構造とするため、バリューチェーンの改革を進める」(近氏)と語った。

3年で交代「自分でも早いと思う」

 佐藤氏は2023年4月の就任から3年での社長交代となり、「(3年での交代は)自分でも早いと感じている」と率直な心境を明かした。その上で、「自動車業界のスピード感において、時間は長さではなく中身で測るもの。『主語を私にしない』という同社会長の豊田章男氏からの教えを守り、今後は産業界全体の発展のために尽力する」と語った。

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