2026年は日本のEV市場が新たな局面を迎える年になるかもしれない。その引き金になるのが、軽自動車タイプのEV、いわゆる軽EVの継続的な市場投入である。
EV(電気自動車)の販売が伸びない日本市場。2025年も国内乗用車販売台数の2%前後を推移するなど、中国や欧州などと比べると桁違いに低い普及率にとどまっている。EV市場の拡大ペースは鈍化しているものの、日本政府が2050年を目標とするカーボンニュートラルの達成に向けては、より多くのEVが導入されるようになっている状況が望ましい。
日本の自動車メーカーも国内市場に向けてさまざまなEVを投入しており、手をこまねいているわけではない。海外自動車メーカーも、日本で一定の評価を得ている欧州勢に加えて、中国のBYDや韓国のヒョンデ(現代自動車)がEVを中核に国内での新たな事業展開を始めており、自動車のユーザーに対する新たな刺激となっている。
そして2026年は、日本のEV市場が新たな局面を迎える年になるかもしれない。その引き金になるのが、軽自動車タイプのEV、いわゆる軽EVの継続的な市場投入である。
現時点で、軽EVとして広く知られているのが日産自動車の「サクラ」だろう。三菱自動車の姉妹車である「eKクロスEV」と合わせると、2022年5月の発売から1年間で累計5万台を生産し、その後も販売を積み上げて2024年9月には累計10万台の生産を達成している。
約259万円の販売価格、20kWhのバッテリー容量、WLTCモードでの満充電からの走行距離が約180kmといった仕様は、これから登場する軽EVのベンチマークとなっている。EV技術の進化が早いこともあり、発売から4年目を迎える2026年は既にEVとして陳腐化しているという指摘があるものの、国内における販売実績はゆるぎないものがある。
新たな軽EVとして2025年9月に発売されたのがホンダの「N-ONE e:」だ。2024年10月に発売した商用バンタイプの軽EV「N-VAN e:」と同じ電動システムをベース車である「N-ONE」に適用することでN-VAN e:から1年という短期間での市場投入を実現した。
販売価格は約270万円からとサクラよりも10万円高いものの、バッテリー容量は29.6kWh、WLTCモードでの満充電からの走行距離は約295kmとなっており、EVの課題とされる走行距離で大きく差をつけた。発売初月の販売台数は4344台で、その後10月、11月と1000台を超える販売を続けており、初年度で1万台の累計販売台数を達成する勢いにある。
サクラの投入から期間が空いたものの、2025年9月発売のN-ONE e:に続いて2026年も軽EVの市場投入が続きそうだ。
2026年に入って最初に登場する新型の軽EVになるとみられるのが、Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)に参画するスズキ、トヨタ自動車、ダイハツ工業が2025年度内の市場導入を表明している商用バンタイプの軽EVだろう。
この商用バンタイプの軽EVは、ダイハツ工業が開発を主導して、2023年度中にスズキとトヨタ自動車向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する予定だった。しかし、認証不正問題によってダイハツ工業が2024年2月にCJPTから脱退。その後、2025年1月に復帰したものの導入時期は2025年度中に変更された。
2025年10月末〜11月初旬に開催された「Japan Mobility Show(JMS) 2025」では、ダイハツ工業とスズキがこの商用バンタイプの軽EVコンセプトカーを参考出展した。ダイハツ工業は「アトレー」をベースにした「e-ATRAI」、スズキは「e EVERY CONCEPT」だ。
両車両ともに外形寸法は全長3395×全幅1475×全高1890mmで、満充電からの走行距離は約200kmとなっている。e-ATRAIの駆動方式は、アトレーやスズキの「エブリイワゴン」と同様に商用車に最適な後輪駆動であることが明示されている。
これらCJPTが企画した車両の市場投入により、ホンダのN-VAN e:、三菱自動車の「ミニキャブEV」といった各社の商用バンタイプの軽EVが出そろうことになる。企業がカーボンニュートラルを目指す上で事業用車両へのEV導入は有力な手段であり、2026年度からの軽商用バンの置き換えが一定数で進んでいくものとみられる。
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