富士経済は、世界のカーボンニュートラル燃料市場を調査し、「カーボンニュートラル燃料の現状と将来展望2026」として発表した。2050年の同市場は2024年比で8.1倍の276.8兆円に拡大する。
富士経済は2026年1月26日、世界のカーボンニュートラル燃料(CN)市場を調査し、「カーボンニュートラル燃料の現状と将来展望2026」として発表した。2050年の同市場は2024年比で8.1倍の276.8兆円に拡大する。
CO2排出削減が急務なため、化石燃料からカーボンニュートラル燃料へのシフトが進むと予測する。カーボンニュートラル燃料は、液体、固体、気体に分類され、今後は液体を中心に利用増加が期待されている。
液体は、今後、主に自動車用燃料向けに大きく伸長すると見込む。現状はバイオディーゼルとバイオエタノールが市場を主導している。船舶や航空機分野でのCO2排出量の規制が2030年以降に強化されるため、バイオジェット燃料やe-Fuel(FT合成燃料)、バイオメタノール、e-メタノールの需要が増加すると予測する。2050年は、特にバイオマス由来のバイオディーゼルやバイオジェット燃料が大きく伸びそうだ。長期的には、水素由来燃料でモビリティ用途の伸長が見込まれるe-Fuelなどが市場拡大の中心となると考えられる。
固体の対象品目は、木質ペレットや木材チップ、PKS(パームカーネルシェル)。主に発電や産業用燃料向けに底堅い伸びが予想される。現在、欧州と日本、韓国が主要な需要地であるが、今後はバイオマス発電の増加や産業分野でのバイオマス燃料の使用増から、中国や東南アジアなどでも需要拡大が見込まれる。
気体は、低炭素メタン(バイオ/e-メタン)、低炭素水素(ブルー/グリーン)、低炭素アンモニア(ブルー/グリーン)、グリーンLPG(液化石油ガス)が対象となる。低炭素メタンや低炭素水素の主な用途は、発電や産業用燃料向けとなる。現状はバイオメタンが主流で、今後も各国でのガス導管への混合目標の設定などから大幅な伸長が見込まれる。
e-メタンは、主に日本企業が中心で取り組んでおり、最大の需要地は日本となる。2030年頃より、低炭素水素は活用が拡大し、特に発電や産業用燃料用途の伸長が予測されている。また、FCV(燃料電池車)の普及によるモビリティ向けの需要増も期待される。
低炭素アンモニアは、2030年頃から混焼による需要形成が石炭火力発電所を中心に進むと予測。アンモニア専焼プラントに関しては2040年頃から建設が進み、利用増加も見込まれる。2040年頃から船舶用燃料としての活用も本格化する。グリーンLPGは主に欧州や日本などで、産業用燃料用途で需要が拡大すると考えられる。
2050年における用途別のカーボンニュートラル燃料構成比は、自動車と航空機用途が約半分を占めると見込まれる。2024年比の伸長率の観点では、自動車と船舶用途が注目される。自動車用途はバイオディーゼル、バイオエタノール、e-Fuelなどが用いられる。ガソリン/軽油との混合義務引き上げや環境規制強化により、バイオディーゼルやバイオエタノールが利用増となる。
船舶用途はバイオディーゼル、バイオエタノール、e-Fuel、低炭素メタノール、低炭素メタン、低炭素アンモニアなどが使用される。これまでの仕様を変えることなく利用できるドロップイン燃料であるバイオディーゼルは需要が着実に増加すると推測できる。また、船舶の燃料転換に関してはLNG(液化天然ガス)からの転換が容易な低炭素メタンが大きく伸長すると予測する。
注目市場の1つとして普及が期待されるSAF(持続可能な航空燃料)の1つであるバイオジェット燃料がある。欧州では、2023年にEU(欧州連合)における航空燃料のグリーン化に関する法規制を発表し、2025年に全燃料搭載量の2%、2050年に70%をSAFに転換する義務がある。
日本においては、2024年に国土交通省「SAF利用可視化ガイドライン」により、GHG(温室効果ガス)排出量と削減効果が示されたことから、今後、SAFの需要が拡大する可能性が高い。また、「エネルギー供給構造高度化法」ではSAF供給目標量の義務化に向けて検討されている。
さらに注目市場として、バイオエタノールが挙げられる。自動車用途が中心で、ガソリンの代替として利用されており、ブラジルや米国ではガソリンへの混合比率に関する法的義務が課せられている。世界最大の生産国は米国であり、同国では全ての自動車が混合率10%(E10)に対応済みだ。カナダや欧州、インドなどに生産量の1割程度が輸出されている。
日本では、自動車用途を中心に徐々に需要が増加している。普及のための施策をベースにさらなる需要伸長が期待され、2050年の市場は4000億円超になると予測する。今は輸入に大きく依存しているが、2030年の「エネルギー供給構造高度化法」の第3次告示で非可食原料由来バイオエタノールの供給目標が設定されたことから、技術/設備を持つ製紙会社などが取り組みを強化させている。
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