東芝は、負極にチタン酸リチウムを採用する独自のリチウムイオン電池「SCiB」を用いた「SCiB 24V車載・産業用パック」を製品化。横浜市のみなとみらい地区でクルーズ体験が行われる、ヤマハ発動機の電動船「e-Float Terrace」に採用された。
東芝は2025年10月16日、負極にチタン酸リチウムを採用する独自のリチウムイオン電池「SCiB」を用いた「SCiB 24V車載・産業用パック」を製品化したと発表した。同月から横浜市のみなとみらい地区でクルーズ体験が行われる、ヤマハ発動機の電動船「e-Float Terrace」に採用された。
SCiB 24V車載・産業用パックは、「JIS D5301始動用鉛蓄電池」のうちD23サイズに適合しており、既存の定格電圧24V鉛蓄電池と容易に代替できることを特徴としている。単体での使用だけでなく、最大2直列6並列で使用した場合に電圧48V/容量5.76kWhとなり、負荷の大きいエンジン始動などの動作にも対応できるため、バスやトラックなどの商用車や、船舶、建設機械、農業機械など大型の産業機器にも適用可能である。e-Float Terraceでは、SCiB 24V車載・産業用パックが24個(2直列6並列×2機、48V/11.52kWh)使用されている。
なお、SCiB 24V車載・産業用パックは、低温環境下でも安定した起動性能を発揮し、海上での使用に求められる耐振動性/防水性(防水等級IPX9K/IPX7)も有している。優れた長寿命性能は電動船のメンテナンス負荷の軽減に貢献する。
e-Float Terraceは、ヤマハ発動機の電動推進器「HARMO(ハルモ)」が搭載されており、横浜市のみなとみらい地区を周遊するルートで運航される。都市型観光と環境配慮を両立するクルーズ体験は、海上交通の脱炭素化と観光資源の付加価値向上を目指す、ヤマハ発動機の次世代モビリティの電動化推進の一環として行われる。
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