フロントローディングすると工数が増える現実――抵抗勢力と現場の勘違い:3D設計推進者の眼(21)(4/4 ページ)
私が尊敬する著者である三枝匡氏による書籍に「V字回復の経営―2年で会社を変えられますか」(日本経済新聞社)がありますが、皆さんはご存じでしょうか。私の大好きな本です。
ここには、あるプロジェクトが臨場感を持って描かれています。その中で、プロジェクトを取り巻く人物像について詳細に分類されていました。それを参考に、私の経験に基づいて分類しなおしてみました。
- 強いリスク思考、変化願望を持つ推進者
- トップダウンで進める場合は経営層がこれにあたる場合がある。
- 理論が突出しすぎると周りの指示を失う
- 論理的・実務的に詰めながら推進ができる
- 古い体質の会社では、受け入れられないこともある
- 推進者を支える人
- 経験によりリーダーに成長することも可能な人
- リーダーになる資質はないが、リーダーの考えを理解し、実務が出来る人
- 改革は基本的に正しいと考えている
- リスクにかかわりたくなく、時々否定的なことを言っては、保身的な態度を取る
- 改革がうまくいけば、支持者に動く
- リスク思考、変化願望に乏しい。
- 自身の利害関係により、否定的なことも肯定的なことも言う人
- せめてこの人たちまでが推進を静観していてほしい
- リスクや変化に対し、自分のこととして考えていない人
- 肯定的なことも、否定的なことも言わず関心を示さずに、従っているかのように見える人
- 裏では傍観者的に批判的な発言をしていることがある
- 改革には距離を置きながら追従する人
- 改革がうまく進めば中立派となり、うまく進まなければ抵抗者になる人
- 持論をふりかざし、改革を正しくないと決めた上で、推進者を否定する
- 技術・技能・知識を必ずしも、持ち合わせてはいない
- 改革部門の上位組織や関連部門が該当する
- 改革が苦しい状況の際に重要で、改革の社内評価が得られていれば大きな手助けとなり、その逆の場合は、改革を止めることもある
- 組織上関係のない人
- 社外の人
- 社外の人ではあるが、大きな影響力を示すこともある
これらの人たちは、プロジェクト(3D CAD推進活動)の進み具合によって、変化します。また推進者のやり方によっては、抵抗者を生むことにもなりかねません。推進者はその考えに対して、社内の理解を求める努力も必要です。
しかし、社内の賛同を得ながらも、抵抗する人が推進活動の障害となるのであれば、経営者への進言としての決断が必要となるでしょう。皆さんの会社ではいかがでしょうか。
土橋美博(どばし・よしひろ)
1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダーも務める。
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