コアは画像でIoT基盤で支える、コニカミノルタが描く製造業の姿:ハノーバーメッセ2017(2/2 ページ)
作業管理に3Dレーザーレーダーを活用するソリューションも出展。これは、独自の3Dレーザーレーダーシステムにより、人の動きを正確に把握。人の動線や安全管理などに活用するという提案である。これらの人の動きの情報と生産情報を一元管理することで、品質管理やトレーサビリティにも役立てるソリューションとして提案した。
3Dレーザーレーダーによる情報の表示イメージ(クリックで拡大)
3Dレーザーレーダーについては、2017年3月にドイツの産業用センサーメーカーであるSICKと共同展開を行う戦略的提携を発表。3Dレーザーレーダーの改変バージョンをSICKにOEM供給し、SICKはこの3Dレーザーレーダーに、工場や物流の自動化市場向けのインテリジェントセンサーに特化したAppSpaceプラットフォームを実装するとしている。既にOEM供給をする「SICK」ロゴ付きの3Dレーザーレーダーが出展されていた。
「SICK」ロゴ付きの3Dレーザーレーダー(クリックで拡大)
さらに検査工程では、カラーマネジメントシステムを活用した塗装の検査や、独自開発したX線非破壊検査技術を活用した、検査ソリューションを紹介した。カラーマネジメントシステムは、画像センサーで色を検出し、その色をカラーマネジメントシステムで参照し異常を発見するというもの。自動車などの塗装やスマートフォンの筐体などの検査用途を想定している。一方で、X線非破壊検査は、タルボ・ロー干渉計技術を活用し、従来のX線の吸収コントラストよりも精緻な映像を記録できるもの。リチウムイオン電池の内部や自動車のCFRPボディーフレームなどの検査にも活用できるとしている。
カラーマネジメントシステムによる塗装検査のデモのイメージ(クリックで拡大)
2017年3月に大きく発表したワークプレイスハブだが、ハノーバーメッセの展示では、あくまでもエッジIT基盤としての役割に抑えた展示とした。コニカミノルタ 執行役 産業光学システム事業本部長の市村雄二氏は「ワークプレイスハブは重要なエッジ側のIT基盤として提案しているが、あくまでもソリューションとして差別化につながるのは、基盤ではない。顧客の課題解決に対するソリューションとして何ができるかが大事。その意味では、コニカミノルタが持つ技術力が重要で、そのコアが画像技術だ。画像技術によるアプリケーションでは差別化ができる。これとワークプレイスハブを組み合わせることで顧客価値を作り出していく」と述べている。
≫ハノーバーメッセ2017特集はこちら
- デジタル製造に新規参入したコニカミノルタ、ウェアラブルによる作業支援に注目
コニカミノルタは、ハノーバーメッセ2016に初出展。同社が参入を発表した「デジタルマニュファクチャリング事業」の概要と、その要素技術となるウェアラブルデバイスやレーザーレーダーなどの技術を紹介した。
- コニカミノルタのエッジIoTプラットフォームは「オフィス向けだけじゃない」
コニカミノルタは、エッジIoTプラットフォーム「Workplace Hub」の国内向け説明会を開催。同社社長兼CEOの山名昌衛氏は「Workplace Hubをきっかけに、ソフトウェアやサービスの進化にハードウェアを取り入れる新しい製造業の在り方に挑戦する。自らの手で変わる、ゲームチェンジャーになりたい」と語り、デジタル革新に挑む同社の姿勢を訴えた。
- コニカミノルタがサーバ付き複合機の投入で「コト売り」を加速する
コニカミノルタは、「CeBIT 2017」において、オフィス内に設置したサーバで、さまざまな社内ITシステムや社内プロジェクトなどのコラボレーションを行うシステムなどを統合管理できる「Workplace Hub」を展示した。第1弾モデルとして、同社が多数の顧客を持つ複合機にこのサーバを組み込んで2017年秋に発売する計画だ。
- 10年で10事業から撤退、イノベーションに活路を見いだすコニカミノルタの挑戦
日系製造業は事業環境の変化に悩まされ続けている。その中で新たなビジネスの芽を生み出し続けることは非常に重要な課題である。「10年で10事業から撤退した」というコニカミノルタでは、ロジックでイノベーションを生み出すため、組織的な取り組みに力を注ぐ。
- 第4次産業革命で「製造業がサービス業になる」ってどういうこと?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第6回では、第4次産業革命で進むとみられる「製造業のサービス化」についてご紹介します。
- 第4次産業革命が起こす価値の創造、新たな羅針盤は「デザイン志向」
第4次産業革命により製造業のビジネスモデルは大きく変化しようとしている。しかし、日本の製造業では技術論や工場内革新などで終始し、新たなビジネスモデル構築で苦戦する様子が見える。その中で急浮上しているのが「デザイン」の持つ力を見直す動きだ。経済産業省で「第4次産業革命クリエイティブ研究会」を推進する商務情報政策局 生活文化創造産業課 課長の西垣淳子氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.