Automated Driving System Toolboxに同梱される画像認識アルゴリズムは、グラウンド トゥルース ラベリングにも活用できる。
走行中の映像に映っている車両や歩行者、車線にラベル付けする作業は、走行データを基にした検証を進める上で不可欠となる。自動車メーカーやサプライヤが走行データを増やすと、それに従ってさらにラベル付け作業が発生する。この作業は、自動車メーカーやサプライヤの自社開発のツールで行うケースが多かった。また、人件費が安価で日本と時差のあるアジア地域に外注するなど、人海戦術でラベル付け作業を行う企業もあるという。
同梱された画像認識アルゴリズムを使用することで、ラベル付け作業は半自動化でき、作業工数を低減できる。独自のアルゴリズムをラベル付けに使用することも可能だ。ツールの自社開発に割いていたリソースを製品開発に振り向けるなど、リソース配分の最適化に貢献するとしている。
ラベリングされた映像を基に、C言語やC++言語で記述されたアルゴリズムの認識結果を示すオブジェクトリストを検証する段階では、MATLABの機能によってテストを自動化することができる。また、オブジェクトリストの内容を俯瞰図に表示する機能もあり、ラベル付けした映像と比較して検証できる。テストの自動化により、アルゴリズムの品質向上や省力化が図れるとしている。
センサーやアルゴリズムをサプライヤが開発しており、自動車メーカーがオブジェクトリストしか得られない場合は、車速や加速度、操舵(そうだ)角といった車両データと、走行映像を基に、システムを検証できる。レポートの自動生成も可能だ。
ADASの開発では、日米欧で実施する自動車アセスメント評価への対応も課題となる。Automated Driving System Toolboxにはシナリオ生成機能があり、自動車アセスメント評価試験の条件でシステムをシミュレーションで評価することができる。
シナリオ生成機能では、走行路や車両や歩行者、自社の移動経路を定義できる他、パラメーター設定が可能なセンサーモデルも提供する。自転車を想定したサイズのオブジェクトを設定することもでき、EuroNCAPが2018年に評価項目に追加する予定の自転車検知を想定したシミュレーションも行える。
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