実際に材料MBDをどうやって進めていくかというと、「4つの基幹技術それぞれを進化させた上で組み合せて活用することになります。まず、コンピュータ上でシミュレーションなどをしていく計算科学技術。実際に作り上げた材料を分析・解析する技術。素材自体を作り上げる材料の合成や、その素材のための製造方法を開発するモノづくり技術。そして出来上がったモノを試験して物性や耐久性が十分か検査する評価技術の4つです」(藤氏)。
「それぞれレベルに差はあります。現時点でミリオーダーの技術は保有していますが、材料MBDではさらにその下のマイクロ(10-6)メートル、ナノ(10-9)メートル、ピコ(10-12)メートルの領域までの技術開発を目指します」(藤氏)。具体的には大学の連携講座を活用して、材料の専門家と協力して開発することで4つの技術を進化させるというが、それはこれまでも行ってきた共同研究を、より活発に行うということだろうか。
藤氏は「これまではそれぞれの研究を先生たちと個別に研究してきましたが、それをプラットフォーム化するのです。これにより研究開発をより継続的なものとするとともに、連携によって新たな発見や解決法が見つかる可能性も高まるでしょう」と答えた。
さらに分析・解析技術分野では、兵庫県立大学と共同で大型放射光施設「SPring-8(Super Photon ring-8 Gev)」を活用して、分子・原子レベルの構造分析を進める計画だ。「トヨタ自動車のような大企業は独自のビームラインを持っています。ウチはそこまではいきませんが、共同研究で利用できるようになりました」(藤氏)。
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