IOWNを活用した3次元点群データの遠隔での解析、閲覧に成功自動運転技術

三菱電機と東日本電信電話は、IOWNのオール・フォトニクス・ネットワークを使った3次元点群データの遠隔解析、遠隔閲覧の実証に成功した。データの物理的な輸送を不要とし、インフラ点検の効率化に貢献する。

» 2025年02月04日 09時30分 公開
[MONOist]

 三菱電機と東日本電信電話(NTT東日本)は2025年1月21日、IOWNのオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)を使った3次元点群データの遠隔解析、遠隔閲覧の実証に成功したと発表した。データの物理的な輸送を不要とし、インフラ点検の効率化に貢献する。実証期間は、2024年10月7日〜2025年1月17日で、三菱電機の三菱多次元施設・設備管理システム(MDMD)とAPN装置をつなぎ、三菱インフラモニタリングシステム(MMSD)で得られた点群データの遠隔解析、遠隔閲覧が有効であることを確認した。

 同実証では、点群データを保存したPCを設置したNTTe-City Labo内の「IOWN Lab」(調布市)と、解析マシンを設置したNTT東日本初台本社ビル(新宿区)の間を、1波長当たり100Gbpsの大容量かつ低遅延、ゆらぎゼロのスペックを持つAPNで接続し、点群データの遠隔解析、遠隔閲覧の実証試験を実施した。その結果、点群データと解析マシンが物理的に離れた場所にあっても、ローカル環境と同レベルの速度、品質で解析および閲覧が可能であることが分かった。

キャプション 本実証における遠隔での点群データ解析・閲覧の構成[クリックで拡大] 出所:NTT東日本
キャプション 点群データ遠隔ビュワー画面[クリックで拡大] 出所:NTT東日本

 今後、日本の社会インフラは急速に老朽化が進む。そのため、効率的かつ計画的にインフラを維持し、必要な場合には更新が求められる。三菱電機はMMSDやMDMDによるトンネルなどのインフラ点検をサポートする計測および解析サービスを提供し、NTT東日本はMMSを活用した電柱点検を実施するなど、両社は点群データを使ったインフラ維持管理に関する取り組みを行ってきた。

 しかし、点群データはデータ容量が極めて大きく、通常のPCなどでは限定的な解析しかできないため、高性能な解析マシンが必要になる。また、従来のインターネット回線を使ったデータの送信や遠隔での解析、閲覧などの作業は難しいため、得られた点群データをSSDなどに保存し、高スペックな解析マシンがある拠点に物理的に輸送して解析しなければいけない。このため、点群データの取得から解析結果を得るまでに時間差が発生し、タイムリーな異常箇所のチェックやデータ不備による再計測の対応が速やかに行えないという課題がある。

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