日本独自の停止時間の条件としては、時速20km以下で20分以上連続走行しないことを課す。実際の走行場面で出現する頻度が低い上、排気ガスの浄化ではなくディーゼルエンジンの保護を優先する保護制御が働くためだ。
この他、欧州と共通で、10秒以上で複数回停止し、停止時間は低速区分の走行時間の6〜30%となるようにする。1回あたりの停止時間の上限は300秒。日本の交通実態とは大きく離れていないと判断した。
高速道路に関して、欧州では時速145kmを超えないことと時速100km以上で5分以上走行するよう定めているが、日本の高速道路で法令を順守して走行すればWLTPの高速フェーズに対応できるため、特に条件を設けない。
試験時間を90〜120分とする点は欧州と共通だ。必要なデータ数を確保でき、なおかつ運転車の負担を考慮した試験時間となる。一方、市街地・郊外・高速道路をそれぞれ16km以上走行する条件を課すと、東京近郊では2時間を超える場合があり、測定試験の成立が難しくなるため走行距離の下限は設定しない。90分走行すれば一定の走行距離を確保できると判断した。
欧州では特に要件を定めていないが、日本ではアイドリングストップ機能を搭載している場合には、機能を停止せず、初期設定の状態のままで試験を実施する。これはWLTPと同じ扱いとなるが、台上試験ではアイドリングストップ機能の大きな影響は見られなかった。アイドリングストップ機能をオフにしている場合、都市内と都市間ではCO2排出量が増加するが、アイドリング状態ではNOx排出量が少ない。
また、WLTPではエコモード、スポーツモードなど全てのモードで基準に適合することを求めており、路上走行試験でも全てのモードで試験を行う必要がある。
この他、走行ルートの標高の高さや勾配は日本の地理条件に合わせたものとする。試験実施時の気温は0〜35℃とするが、0℃未満や35℃よりも高い温度での実施も検討する。なお、「測定中における1分ごとの移動平均がこの範囲を超えた場合は試験を無効とする」(両省)としている。
試験時のエアコンやヒーターの使用条件、重量は欧州と同様とする。急加速などの運転操作など、欧州の試験法を踏襲するか検討中のものもある。プレコンディショニング条件(暖機、DPFの堆積など)については欧州では間もなく新たに規定される予定となっている。
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