2012年に導入されたJC08モードが2018年10月で廃止になる。国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で定めた国際基準に基づく排出ガス/燃費試験に順次移行しなければならない。
国土交通省は2016年10月31日、乗用車の排出ガス/燃費試験に国際基準「WLTP(World Harmonized Light Duty Test Procedure)」を導入すると発表した。シャシーダイナモメーター上で排出ガスや燃費を走行する際、これまでの走行パターンはJC08モードと決められていたが、今後は国連の定めたWLTPに沿った走行パターンに切り替わる。当面はJC08モードでの測定も可能だが、2018年10月から全面的にWLTPに移行することとした。
本稿ではWLTPの概要やJC08モードとの違いをまとめる。
WLTPでは、最高車速やPMR(Power to Mass Ratio、定格出力/空車重量)によって4つのクラスに分けられている。走行サイクルはクラスごとに異なる。クラス1はPMRが22以下、クラス2はPMRが22〜34の場合でインドなど新興国向けの小型車などが該当する。日本国内で販売されている乗用車は、ほぼクラス3に該当する。クラス3はPMRが34以上で、最高時速120kmを境にクラス3aとクラス3bに分けられる。クラス3aは軽貨物車の一部が該当する。
日本国内では、クラス1に該当する車両は日本で現在販売されておらず、クラス2も乗用車と貨物車の各1車種に限られている。このように、クラス1およびクラス2に該当する車種は少数に限られるため、日本国内で販売されている乗用車にはクラス3の走行サイクルを適用することとした。
WLTPの走行パターンは、JC08モードと比較して平均車速が上昇し、より高い速度域をカバーすることになる。走行時間や総走行距離も増加する。また、アイドリング時間の比率は少なくなる。JC08モードではアイドリング時間が走行時間の3割近くを占めるが、WLTPでは15%まで低下する。アイドリングストップ機能を搭載した車両は、JC08モードよりもWLTPの燃費値が悪化することが考えられる。
WLTPでは、低速/中速/高速/超高速の4つのフェーズに沿って走行する。超高速フェーズはドイツのアウトバーンを想定した走行サイクルで平均時速92km、最高時速131kmに達する。超高速フェーズの走行サイクルは締約国の判断で除外でき、日本では国内の走行実態を踏まえて超高速フェーズを除外する。なお、クラス3aの走行パターンはクラス3bよりも速度や加速度が緩和されており、平均車速も低くなる。
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