Cortex-M23/M33に合わせてARMが発表したのが、IoT向けクラウドプラットフォームのmbed Cloudである。ホーン氏は「IoTのシステム構築を進めていく上で課題となるのが、個別のIoTデバイスの管理だ。mbed Cloudを使えば、この個別のIoTデバイス管理をセキュアに行える」と強調する。
SaaSであるmbed Cloudはマルチクラウド対応、さまざまなデバイスとの接続性、デバイスの消費電力管理、高いセキュリティなどを特徴とする。
ただし、mbed Cloudを使ってIoTデバイスを効率よく管理するには、ARMの組み込み機器向けOS「mbed OS」の最新バージョン「mbed OS 5」の活用が重要になってくる。ARMプロセッサコア搭載デバイス向けに最適化されたmbed OSだが、mbed OS 5へのバージョンアップによってmbed Cloudとネイティブで連携する機能を備えた。
これによってARMは、IoTデバイスとクラウド側の両方でデータを効率よく収集するプラットフォームを得たことになる。これによって、従来はプロセッサコアと関連IPのベンダーでしかなかったARMがIoTプラットフォーマーとして名乗りを上げ、IoT市場で主導権争いを繰り広げている大手ITベンダーなどと競合することになるという見方も可能だ。
これに対して、ARM システムズ アンド ソフトウェアグループ バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのモニカ・ビダルフ(Monika Biddulph)氏は「大手ITベンダーはクラウドとIoTデバイスをいかにしてつなげるかに注力している。ARMの仕組みは、頻繁にスリープ状態になったり不定期に動作したりするIoTデバイスの管理を簡易にするもので、ITベンダーにとっても喜ばしいソリューションになる」と述べている。
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ARMが新プロセッサ「Cortex-M7」を発表、「コネクテッドカーを進化させる」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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