ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」は2015年10月のリリースを目指して作業が進められており、その意図するものもある程度は見えてきた。Bluemix連携やMUCの55mmシフトなどトピックの多いmbed OSの「いま」を解説する。
今月はARMのmbed OSの話をご紹介。mbed OSの話は、この連載とは別に2015年1月に紹介しているのだが(ARM「mbed OS」とは何か?その詳細と動向)、まだBeta版がリリースされる前にもかかわらずいろいろと動きが見えるので、これをご紹介したいと思う。
mbed OSが提供するものを、前回(Google「Project Brillo」はどこまでApple「HomeKit」と派手に戦う)のProject Brillo的にまとめれば以下のようになる。
mbedがProject BrilloやHomeKit、あるいはこれまで紹介してきたIoTivityとかAlljoynなどと異なっているのは、上位メッセージプロトコルの提供予定がないことだ。HomeKitやAlljoynなどの場合、照明の制御であれば「On/Off」「輝度」「色調」など、必要と思われる項目が上位プロトコルの形で用意されており、後は自社製品に関係する部分を埋めてゆくだけで製品が完成する(単純なOn/Offのみの照明器具なら、輝度とか色調は「機能無し」と返すように実装すれば、操作側からその機能が消えるし、機能がある場合は定められたプロトコルに沿ってその機能に対してどんな能力があるかを返すようにインプリメントすれば、後はそれに合わせる形で制御リクエストがやってくる)。
対してmbed OSの場合、あくまでも通信方式としてのプロトコルはサポートされるが、「その上でどんなメッセージをやりとりするか」に関して、ARMは積極的には動くつもりがないらしい。
下のPhoto01は2015年4月に開催された「ARM Tech Day 2015」で紹介されたスライドだが、アプリケーション層でREST APIまではmbed OSの範囲であるが、その上は「IPSO Object」となっているのが分かる。IPSOそのものは以前こちら(IoTの老舗団体「IPSO Alliance」は何を手助けするか)でご紹介したが、スマートオブジェクトを定義するのを主目的とする団体である。要するにこのIPSOのオブジェクトをそのまま利用することが出来ます、という話である。
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