私の経験では、3000mmの鋼材の長さ寸法が図面の寸法値に対して、加工上がり寸法が3mm長いということで問題になったことがあります。
JIS B 0405-1991では、2000mmを超え4000mm以下の長さの寸法公差が、中級で±2mm、粗級が±4mmに規定されているので、中級ではNGでも粗級ではOKです。
ちなみに図面には等級の指定はありませんでした。ちなみに極粗級では±8mmが規定されています。設計者の頭の中にあったのは小さな部品に適用される±0.1〜±0.2mm程度のものだったのでしょう。
またこの規格は、1957年に制定されて1991年に改正されています(確認年月日は2015年です。確認年月日とは規格の適性を確認した年月日)。
私が不思議に思うのは、「17年前と現在とで、加工方法や加工機が進化していると思うけれど、その変化って反映されないのかな?」ということです。もちろん、十数年前の技術でも現在の技術でも同じことができることが標準規格だと思いますが、設計側からすると、「同じコストでできる加工精度は上がっているのでは?」と思うのです。
こんなことから、自社の一般公差に対するテーブルが必要だと考えています。一般公差や自社の一般公差テーブルのメリットの1つとして、図面に公差を記入しないことがあります。ある講習会で聞いたことがあるのですが、図中に公差値を入れることによってその部品コストが上がることもあるとか……。
もちろん、この公差を加工部門と問題なく運用するには、一般公差は問題ないかと思いますが、自社の公差テーブルの場合には、加工部門との協議や取り交わしを行っておくことが必要です。場合によっては改訂作業も必要になるでしょう。
このテーブルは会社の資産にもなります。もちろん、これはユニット設計をする人も、部品図を設計する人も同じテーブル、同じ基準で考えることが可能になるので、3Dモデルを描く上で、その背景にあるものとしてJIS規格とともに、重要なものになります。同じように幾何公差についても、JIS B 0419:1991「普通公差 第2部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差」があります。
ともあれ、3D CADを使用しながら、詳細設計を進める上でも、その基準となる寸法公差と幾何公差を正しく考えているのかが重要だということ、そして、その情報が2Dと3Dの融合において大事な部分だと私は考えます。
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