レイアウトの割振りが決まったら、3Dで設計が始まります。構想図を参考に、レイアウト管理者と相談しながらユニット設計を開始します。新規設計の場合も、リピート性が高い場合も、構想図を無視して、ユニット設計担当者が勝手に新しいユニットを設計する人はいないと思いますが……。
ここで質問です。新規設計の場合、皆さんは、どの部品から描きはじめますか? 例えば架台のベース面に設置される構造部から描きはじめるとしたら、それは正しいでしょうか?
ワークを保持したり、ワークに接して加圧したり、温度を掛けたり、切ったり、貼ったりするのが加工点(作業する箇所)です。加工点となる部品やアセンブリから、ベース接地面へ展開していくことが正しい(ベース接地面から始まって、加工点へと詳細設計を展開するということはない)と私は考えています(図)。
この設計の展開は、3D CADの使い方によっては異なります。この流れとしては、パーツを考えながらユニット部位としてのサブアセンブリを構築して、最終的にユニットとしてのアセンブリを構築することになっています。
3D CADを用いた設計標準については、いずれお話したいと思います。
次に、部品と公差の付与について考えてみます。
設計者は詳細設計開始時に、部品に対しての寸法公差や幾何公差を考えているのでしょうか? ワークにも公差は与えられていますが、私の場合は、このワークの公差も中央値で考えることがほとんどです。この影響を受ける自社装置の部品を3D CADで設計する時に、その部品に公差を属性情報として与えるということは、極めて要注意な条件でない限りは行ってはいません。もちろん2D CADを用いていた時代では、属性情報という概念すらありませんでした。
よって公差を付与するのは3Dモデルから2D図面化する時ということになります。
設計者は、2D部品図を設計する担当者に対して口頭であらかじめ伝えるか、2D部品図展開時にその部品図担当者から、この公差についての質問を受けることになります。
3Dモデル設計者には、その詳細設計の段階で、頭の中には寸法公差や幾何公差をどうするかという考えは必ずあるはず……ですよね。
またその部品形状を考える時には、その部品の加工方法も考えている……はずです。
ここがポイントです。
面と面が接触する部品、はめあいを考えなければならない部品、購入品によっては、例えばベアリングのように、その用途によってはベアリングメーカー指定の寸法公差や幾何公差があります。
これらを意識しながら部品の設計を3Dモデルとして進めているはず……です。
これらの公差は加工方法においてリスクとしてあげられているかもしれません。また設計DRでも指摘されるかもしれません。
では社内でこの公差に対して、どのような基準があるのでしょうか?
JIS B 0405-1991(ISO 2768-1:1989)「普通公差 第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差」はご存じでしょうか?
以下に、その原文から抜粋します。
1.適用範囲 この規格は,図面指示を簡単にすることを意図し,個々に公差の指示がない
長さ寸法及び角度寸法に対する四つの公差等級の普通公差(general tolerance)について規定する。
備考1.長さ寸法及び角度寸法に対する普通公差表示方式の背景にある概念は,附属書 A に述べる。
この規格は,金属の除去加工(metal removal)又は板金成形(forming from sheet metal)によって製作した部品の寸法に適用する。
2.これらの公差は,金属以外の材料に適用してもよい。
(途中省略)
この規格は,個々に公差指示がない次の寸法にだけ適用する。
(a)長さ寸法(例えば,外側寸法,内側寸法,段差寸法,直径,半径,間隔,
かどの丸み及びかどの面取寸法)。
(b)角度寸法[通常,図面に指示されない角度,例えば,JIS B 0419 が引用されていない
直角(90°),又は正多角形の角度を含む。]。
(c)組立品を機械加工して得られる長さ寸法及び角度寸法。この規格は,次の寸法には適用しない。
(a)普通公差についての別の規格が適用される長さ寸法及び角度寸法。
(b)括弧内に指示した参考寸法。
(c)長方形の枠内に指示した理論的に正しい寸法。
(原文ママ)
これは図面指示を簡単にすることを目的にしたもので、図面中に公差の指示がない長さ寸法や角度寸法に対して、4つの公差等級の普通公差を規定するものになります。
自社でJIS製図では、またその部品での一般公差では、精級、中級、粗級、極粗級のどれを選択するのかを決める必要があります。
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