新たに発表した「INTEGREX i-200S AM」の最大の特徴が新方式の積層方式を利用した点である。新たな積層技術は「マルチレーザー式金属積層技術(M-LMD)」で、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)による「高付加価値設計・製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発」プロジェクトで実現したものだ。従来の同社モデルなどでも採用していたレーザーによる積層方式は、レーザーを中央から噴射し、周辺から金属粉末を噴射して溶かして積層していく方式だ。一方で新方式は周辺6ポイントからレーザを照射し中心部から金属粉末を噴射する仕組みである。
従来技術に比べ、加工点への安定した金属粉末供給を可能とし、飛行中の金属粉末を効率よく溶融させ、母材への熱影響を低減することができる。これにより、微細な積層造形加工や熱影響が問題となる薄板母材への加工に有利だとしている。「母材を傷めずに薄いコーティングなどを行える」(ブース説明員)としている。
新たに発表した「VARIAXIS j-600AM」は、市販のワイヤアーク溶接装置を5軸立形マシニングセンタに取り付けたもの。溶接トーチを制御することで、溶接作業の自動化と切削加工工程との融合による工程集約を実現する。ワイヤアーク溶接による積層は、金属パウダによるAM加工に比べ、短時間に多くの積層造形を行うことが可能であることが特徴だ。「金属パウダー式はまだ粉末が高額である場合も多く、材料も限られている。ワイヤアークを用いれば、市販品がそのまま使えるために、低コストで積層が実現できる。また粉じん爆発の心配もなく、安全性の面でも有利だ」とブース説明員は述べている。
積層精度についてはそれほど高くはないが、後の切削工程を組み合わせることを考えれば積層スピードも速いという利点がある。「用途によっては金属粉末よりも利便性が高いといえる」とブース説明員は述べている。
「摩擦撹拌接合」で異種金属を接合できる機能を持ったハイブリッド複合加工機「VTC-530/20 FSW」も紹介。同モデルは2014年のJIMTOFで発表されたものだ。摩擦撹拌接合は摩擦熱で軟化させた材料を撹拌して接合する金属接合技術で、溶接よりも低い温度で溶接よりも強い強度で異種金属を接合することができることが特徴だ。異種金属を接合面も見えない形で加工できる点が特徴となる。「現状では自動車向けでアルミ接合を行うケースが多い」(ブース説明員)としていた。
ヤマザキマザックでは今後、従来の金属粉末型のレーザー積層装置なども組み合わせ4方式をニーズに合った形で展開し、市場開拓を進めていくとしている。
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