劣化や変色に強いのに30%の軽量化、クーパースタンダードが新開発の樹脂材料材料技術(2/2 ページ)

» 2016年11月16日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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社内のプロジェクトから生まれた新素材

ウェザーストリップの材料を置きかえるメリットとは ウェザーストリップの材料を置きかえるメリットとは(クリックして拡大)

 フォートレックスは新開発の軽量エラストマーだ。これまでウェザーストリップには、EPDM(エチレンプロピレンゴム)やTPV(オレフィン系架橋型熱可塑性エラストマー)が用いられてきたが、フォートレックスはEPDMと比較して30%以上、TPVと比較して10%以上の軽量化が可能になるという。

 素材自体のコストは従来よりも若干高くなるが、使用量を低減できるためコスト増加分を相殺できるとしている。また、既存の部品設計から変更は不要で、成形もしやすい。

 従来の素材との違いは、耐候性能や形状維持にあるという。ドアガラスランは経年劣化で白っぽくなってしまう。米国試験材料協会が定めた規格ASTM D7869に準拠した耐候性能試験では、EPDMは500時間で変色するのに対し、フォートレックスは3750時間でも変色しなかった。

 変色しにくいだけでなく、着色にも対応可能だ。EPDMやTPVは補強剤としてカーボンブラックを配合する必要があるが、フォートレックスはベースが無色なので自由に着色できるという。車体色に合わせたドアガラスランを装着することも可能になるとしている。

カラーリングメッキ風の処理 カーボンブラックを配合する従来の素材とは異なり着色できるため、カラフルなドアガラスランも可能(左)。従来通りのメッキ風の処理にも対応(右)(クリックして拡大)

 また、TPE(熱可塑性エラストマー)とフォートレックスの形状維持性能をドアガラスランに用いて比較したところ、フォートレックスは80度の熱サイクル試験を実施した後もNVH性能(ノイズ、振動、ハーシュネス)に大きな低下がみられなかったという。

 すでに北米自動車メーカーでの採用が決まっている他、6社の自動車メーカーに提案を進めている。ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車など静粛性の高いエコカーではNVH性能がさらに重視されるため、需要拡大を見込んでいる。耐候性能や耐熱性を生かして、ウェザーストリップ以外の用途にも提案していく考えだ。

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