VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集
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» 2016年11月15日 10時00分 公開

VR空間での“ワイガヤ”設計レビューが合理化で失われた設計情報の共有を可能にVRニュース(2/2 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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「若手エンジニアがなかなか育たない」という悩みはVRで解決できる?

 バーチャルデザインレビューの開発の背景には、設計現場における「若手エンジニアがなかなか育たない。教育は十分に時間をとっているのになぜだろう」という管理者の悩みがあったという。サイバネットシステム 執行役員 ITソリューション事業本部 データソリューション事業部 事業部長の加苅政猛氏は「実際に設計者本人も『自分の設計や解析が正しいかいつも心配だ』と考えていることが、大手製造業の設計者向けのアンケートで分かった。そしてこの問題の原因は、設計者間におけるコミュニケーションの減少にあるのではないかと考えた」と語る。

 3D CADツールの導入による設計業務の合理化、過去の経験の電子化/ライブラリ化、2D図面時代の現図台からPCへの作業場所の移行などが進んでおり、これに合わせて、成功/失敗の経験、気付き、議論、ちょっとしたコツ、判断過程などを共有する機会が失われているというのだ。

 サイバネットシステムではこれらの課題を2013年ごとに把握し、合理化で失われた設計業務の情報共有を可能にする「ワイガヤ設計レビュー」というコンセプトでVRによる3D CADデータの活用を検討した。しかしその時点ではVRシステムが高価だったこともあり、「iPad」を用いたARを採用した。

「ワイガヤ設計レビュー」のイメージ 「ワイガヤ設計レビュー」のイメージ(クリックで拡大) 出典:サイバネットシステム

 このARを使ったワイガヤ設計レビューの評価を進めたところ、iPadでは設計データを扱いきれないことや、通信速度にも問題があることが見えてきた。その一方で、当初のコンセプトである“ワイガヤ”による設計業務の情報共有の有効性は認められた。離れた場所からの参加が可能な点も好評だった。バーチャルデザインレビューに搭載されている協調作業支援機能やレビュー結果の記録機能も、この評価から生まれたものだ。

 加苅氏は「ワイガヤ設計レビューにはやはりVRが必要だろうという結果が見えたところで、HTC Viveにような安価なVRシステムが登場した。バーチャルデザインレビューはある意味、満を持しての投入になる。欧州では、VRシステムを用いたバーチャルエンジニアリングが普及しつつあるが、バーチャルデザインレビューが日本国内でのバーチャルエンジニアリング普及の起爆剤になれば」と述べている。

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