ソリッドレイ研究所は、VR(仮想現実)システムの新製品「オメガシップ」を発表した。最大の特徴は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着した複数人の間で同じVR空間を同時に体験できることだ。
ソリッドレイ研究所は2016年6月27日、横浜市内で会見を開き、VR(仮想現実)システムの新製品「オメガシップ(OmegaShip)」を発表した。最大の特徴は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着した複数人の間で同じVR空間を同時に体験できることだ。現時点ではイントラネットでLAN接続した10人までが上限となるが、将来的には「インターネットを使って遠隔地でも複数人のVR空間の同時体験が可能にしたい。同時接続数も100人くらいまで増やしたい」(同社社長の神部勝之氏)という。
「第2回 先端コンテンツ技術展」(2016年6月29日〜7月1日、東京ビッグサイト)でデモンストレーションを披露するとともに販売を始める。価格は、オメガシップ専用のセンターサーバ、VR空間を体験するための1人分のセット(専用デスク、PC+VRソフトウェア、HMD)で330万円から。1人分のセットの追加額は175万円(いずれも税別)。危険な場所での作業のトレーニングや、建築物のプレゼンテーション、ゲームをはじめとするエンターテインメントといった用途で提案し、初年度100台を販売する計画だ。
ソリッドレイ研究所は1987年に設立されたVRの専門企業だ。神部氏は「当時は立体映像の専門企業として発足したが、1990〜2000年にかけて起こった『VRバブル』の中でさまざまな浮き沈みを経験した」と語る。このVRバブルとは、VRの映像を映し出すのに数千万円〜数億円という高額のシリコングラフィックス製CGワークステーションが必要とされた時代のことだ。売上高を求める商社なども参入しまさにバブルとなったが、シリコングラフィックスからスピンアウトしたNVIDIAの高性能グラフィックスボードの登場による価格下落により終えんを迎えた。「VRの専門企業だったわれわれは、グラフィックスボードを使ったPCベースのVRの時代がきたと考え、2000年にPC用VRソフトウェア『オメガスペース』を発売した。今回のオメガシップも、オメガスペースがベースソフトになっている」(同氏)という。
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