今回発表したKDDI IoTクラウド Creatorは、顧客とKDDIがともに“気付く、変える、生み出す”というコンセプトに基づくサービスとなる。具体的には、顧客のIoT導入プロジェクトに対して、その規模に合わせてKDDI側が開発チームを編成する。この開発チームは、数人から多くても10人弱のメンバーの構成で、顧客のIoT導入プロジェクトに関するアイデアを基に、「開発→評価→改善」を小さく高速に繰り返す「アジャイル開発」の手法でプロジェクトを推進することになる。
KDDI IoTクラウド Creatorにおける、アジャイル開発のサイクルは2週間が基本となる。このサイクルを短ければ2回、標準的には4回程度回すことになる。顧客側にIoT導入に関するアイデアがあれば、それをスモールスタートで実現するための開発から構築、その後の改善作業まで、KDDI IoTクラウド Creatorの開発チームがサポートしてくれる。
KDDIは顧客向けサービスのアジャイル開発で3年以上の実践実績があり、アジャイル開発の認定資格者は全社で約70人在籍している。KDDI IoTクラウド Creatorのサービスを開始するに当たり、外部パートナーとの協力で約140人の体制とする予定だ。2016年度内は、この体制の中で、数十の開発チームが顧客とのIoT導入プロジェクトを推進していくことになる。
アプリケーション開発の際には、KDDIの独自開発基盤を利用する。「個別開発で一から作るわけではないので、効率的な開発が可能だ」(森氏)という。
KDDI IoTクラウド Creatorの価格は公開されていない。ただし、開発チームの人数と期間に対応する人月工数に基づく価格体系となりそうだ。「簡単なプロジェクトであれば数百万円で済むだろう」(KDDI)という。
対象業種は、自動車、工作機械/建機、家電、社会インフラ、エネルギー・運輸・鉄道、建設・不動産、小売、農業・医療・教育など幅広く設定。これらの中で、現時点で引き合いが強いのは、自動車、工作機械/建機、エネルギーである。
KDDIは、KDDI IoTクラウド Creatorに先駆けて、ソラコムと共同開発したIoT回線サービス「KDDI IoTコネクト Air」を発表している。これら2つのサービスは、IoTをスモールスタートで取り組みたい顧客を強く意識したものなる。森氏は「もちろん、既存のM2Mサービスやグローバル通信プラットフォーム、KDDI IoTクラウド Standardの事業展開も進めていく。2つの新サービスは、2016年12月以降に開始予定だが、それまでに新たなIoT関連のサービスも追加していきたい」と述べている。
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