“はんこを押すだけ”の上司はもう不要、人とロボットが共に働く意味:協働ロボット(2/2 ページ)
従来はロボットの安全性の問題から、80W以上のロボットについては、人とロボットが同じスペースで作業をすることは法律で禁じられていた。また、軽量のロボットについても、ロボットに必要なティーチングの手間や、導入費用の負担などを考えると、人間が作業した方がコスト面でも時間でも有利だという状況があった。
これらの状況が徐々に変化してきたのには、3つのきっかけがあったと考えられる。1つが規制緩和だ。2013年12月の規制緩和により、「ロボットメーカー、ユーザーが国際標準化機構(ISO)の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じる」などの条件を満たせば、80W以上の産業用ロボットでも人と同じ作業スペースで、働くことが可能となった。これにより、柵の設置やスペースの確保などの負担を大きく軽減できるようになった。
2つ目が、労働環境の変化である。先進国を中心とした労働人口の減少、新興国における労働賃金の上昇などがあり、必要な技能の人員を必要数雇うのが難しい状況が世界中で生まれてきている。さらに熟練技術者の不足もあり、こうした人が担っていた作業を代替する必要性が生まれてきている。
3つ目が、技術の進化である。「COBOTTA」を含む小型・軽量ながら高精度で作業を行えるロボット技術が進展。さらに、ロボット利用の活用の大きな課題となってきたティーチングの手間や負担についても軽減する技術などが登場してきており、普及への後押しとなっているのだ。
「COBOTTA」は2016年末の販売を目指してきたが、現実的には2017年の発売となる見込み。発売時期までには、ティーチングなどの作業を軽減する、標準的なアプリケーションなども用意し、導入負担軽減を実現する方針だという。
既に発表以来、産業用ロボットの主用途である工場の生産ラインなど以外での用途でも引き合いが来ているというが「現在でも最も引き合いが強いのは生産ラインでの用途。従来はロボットに代替できなかった作業をCOBOTTAで代替したいという声が強い」と榎本氏は述べている。
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