デンソーが、主力事業である自動車部品の技術を基に他分野へ展開を広げている新事業の取り組みについて紹介。2011年以降新たに立ち上げた8分野では、ソリューションビジネスを視野に入れ、自前主義から脱却しパートナー企業との連携を重視する方針だ。
デンソーは2016年9月14日、東京都内で会見を開き、主力事業である自動車部品の技術を基に他分野へ展開を広げている新事業の取り組みについて紹介した。2011年から新たに立ち上げた「マイクログリッド」「セキュリティ」「ヘルスケア」「農業支援」「コールドチェーン」「電動アシスト」「情報ソリューション」「バイオ」の8分野に注力し、産業機器や生活関連機器を含む新事業の売上高を、現在の650億円弱から2020年に1000億円に引き上げたい考えだ。
会見に登壇したデンソー 取締役 専務役員 アフターマーケット・フリート・新事業グループ統括の伊藤正彦氏は「デンソーの2015年度売上高4兆5245億円のほとんどが自動車部品や自動車用品といった、自動車関連の製品が占める。当社としては、新車販売の動向に左右されにくい事業構造を実現すべく、2011年から専任部署の新事業推進室を設置して新事業の育成に注力している」と語る。
また、新事業で扱う製品や技術は、作って売るだけの売り切りビジネスではなく、サービスまでを含めた一気通貫のソリューションとして展開することを想定している。ソリューションを構築する際には、スピード感を高めるため、パートナー企業のとの連携を重視する方針だ。伊藤氏は、「新事業は、デンソーの技術で社会課題を解決することを目的としているので、デンソーの技術が立ち上げの必要条件になることは確かだ。しかし自前主義からは脱却し、新事業が対象とする分野を得意とするパートナー企業と協業して、早期にソリューション展開ができるようにしたい」と強調する。
デンソーはこれまでにもさまざまな新事業を行ってきた。1950年代に手掛けた洗濯機は売上高トップを記録し、1990年代には携帯電話機の事業展開も行っている。しかしこれらの新事業は「事業部が自発的に行った取り組みであり、会社全体の戦略に位置付けられていなかった。今回の新事業は、その点が大きく異なる」(伊藤氏)という。
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