「電動アシスト」では、「CEATEC JAPAN 2016」でコラボレーションロボット「COBOTTA」を初披露するが、事業化がより近い状態にあるのが産業用UAV(無人航空機)、いわゆるドローンである(関連記事:産業用UAVから始まる、デンソーの新たなロボット事業)。
デンソーの産業用UAVは、現在人間が行っている橋梁の点検作業向けに展開する計画。独自の姿勢制御技術によって、人間が近接目視で行っている点検作業を代替したい考えだ。さらに、カメラで撮影した画像を使って、橋梁の3Dデータ化や、ひび割れを自動抽出する技術などの開発も進めており、ソリューションビジネス化に向けさらなる一歩を踏み出しつつある。
「ヘルスケア」では、長時間にわたる手術を支援するロボット「iArmS」を開発し、一部モニター販売を開始している。さらに協業という観点では、日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトである「スマート治療室」において、工場のネットワーク化に用いるミドルウェア「ORiN」をベースに、手術室内の情報を統合するシステム「OpeLiNK」の開発に協力している。
スマート治療室そのものの施工や販売、用いられる医療機器の開発は医療関連の専門企業が担当するが、デンソーはネットワーク化で貢献する立場になる。
デンソーの新事業8分野は、2020年までに個々の分野で事業として自立化することが目標になっている。伊藤氏は「自立化とは、売り上げ規模に関わらず黒字化することだ」と述べる。その上で「新事業を成功させるには、エンドユーザー視点で世の中の変化を見通す力を発揮し、スピード感を持って当事者意識で常にチャレンジする姿勢が求められる。そういった人材を社内で育成できることにも意義がある。デンソーが自動車関連だけやってる会社ではないということを社外に訴えることにもなり、人材募集にもプラスの影響が出ている」(伊藤氏)としている。
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