当日は、自動駐車支援のデモンストレーションも行った。使用するのは車両の前後に6個ずつ装着した超音波センサーのみ。センサーは車両の側面に搭載していないが、車速や車両の外形寸法、ステアリングの切れ角などを基に車両の横側の空きスペースも推定する。ボッシュが量産するセンサーの1つ。
今回披露した自動駐車支援は、スマートフォンなどの端末を操作すると運転席が無人でも駐車できるようにしたものだ。
自動駐車の手順は次の通り。並列駐車で車両が並ぶ前を通過した時に、超音波センサーが自車の車幅プラスアルファのスペースを検知すると自動駐車が可能だ。シフトレバーをいったんニュートラルに入れてからリバースに入れると自動駐車モードになり、スマートフォンの画面上の駐車スイッチを押している間のみ、後退や切り返しで車両が動く。ワンタッチで駐車が完了するようにしないのは、ドライバーの監視下で駐車させるためだ。
ボッシュは、2020年以降のバレーパーキング(駐車場入り口から無人運転で駐車する)実用化に向けて、自動駐車時のドライバーによる監視を最小限に減らしていく。
女満別テクニカルセンターでは、この他にも超音波センサーを活用した運転支援機能を紹介した。超音波センサーの装着位置は自動駐車支援の実験車両と同じく車両の前後に6個ずつ、合計12個だ。自動駐車支援で車両の横側の空きスペースを検知したのと同様に、車両の左右にある障害物も検知する。
1つは、車両の前後左右に搭載したカメラの映像を合成したサラウンドビューとの組み合わせだ。カメラの映像に超音波センサーが検知した障害物の位置も合成することで、視覚的に分かりやすく周辺の状態を示す。
また、ステアリングの角度やギアの種類に合わせて映像や警告表示を切り替える。例えば、車両の右側に巻き込まれる位置に障害物がある時、そのまま右にステアリングを切り続ける場合には警告を表示するが、巻き込まない角度にステアリングを操作した場合には通常の俯瞰表示とする。同様に、車両の目の前に障害物がある場合、ギアがドライブに入っている時は警告するがリバースなら後方の映像に切り替えるなど、ドライバーの操作と車両の軌道に合わせて死角をサポートする。
こうした超音波センサーの障害物検知を低速走行時や駐車時の自動ブレーキにも応用する。駐車時の自動ブレーキは既に欧州市場向けに搭載されており、今後日本でも普及していくという。特に駐車スペースが狭いアジアでは、駐車時の自動ブレーキの需要が高まると見ている。
ボッシュでは製品ごとの性能向上に取り組んできたが、製品同士の連携が求められる自動運転の実現に向けて、システムとしての開発に重点を置く。システム開発部門を日本国内に新設し、60人以上のエンジニアが既存の組織の枠組みを超えて技術の連携に取り組んでいる。
こうした体制で、日系自動車メーカーの開発のサポートや、日本独自の交通事情を反映させた自動運転の開発に注力していく。
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