Robert Boschは、自動運転車の車内を自宅と職場に次ぐもう1つの居住空間にしようとしている。2021年には、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)を通じて、車内の照明の色やディスプレイ表示を変えるだけでなく、運転中に必要なサポートまでドライバーに最適化する。また、自動運転中にテレビ会議を支障なく行えるまで通信できるようにする。
Robert Boschは、自動運転車の車内を自宅と職場に次ぐもう1つの居住空間にしようとしている。2016年6月8日に日本法人のボッシュが開催した年次会見ではコンセプトカーを披露し、2021年の自動運転車の使い方を紹介するデモンストレーションを行った。HMI(ヒューマンマシンインタフェース)を通じて、車内の照明の色やディスプレイ表示を変えるだけでなく、運転中に必要なサポートまでドライバーに最適化する。また、自動運転中にテレビ会議を支障なく行えるまで通信できるようにする。
Robert Boschは自動運転車の車内を、自宅と職場に次ぐ第3の生活空間にしようとしている。これに向けて、同社は今後5年間で次の4つの項目を達成する計画だ。
1つは、SNSを始め、車外との連絡やコミュニケーションを自由にとれるようにすることだ。仕事に必要なデータにアクセスすることも含まれている。2つ目は、そうした通信機能のセキュリティを担保することだ。
3つ目はパーソナライゼーションだ。ドライバーの好みに合わせて単にディスプレイ表示や照明の色を変更するだけではない。移動中の習慣や、ドライバーが必要とする運転支援まで最適化させる。4つ目は、こうしたパーソナライゼーションを1つのHMIを通じて実現できるようにすることだ。
2021年には、こうしたRobert Boschの提案を採用した自動運転車が市場に投入される見通しだ。これらの試みを反映したコンセプトカーを海外の展示会などで披露している。このコンセプトカーの骨格部品は樹脂で、外板を布張りとするなど、軽量化に向けた提案も隠されている。
ボッシュが披露したコンセプトカーの運転席は、複数の大画面ディスプレイや指紋認証機能付きのステアリングなどで構成されている。
指紋認証機能はクルマの始動や自動運転と手動運転の切り替えに用いる。また、始動時にドライバーを見分けて設定のパーソナライゼーションを行う。自動運転を開始する、もしくはドライバーが運転に復帰したい場合は指紋認証を行う部位に両手の親指を一定時間置けばよい。誤操作なく確実に運転モードを切り替えられるようにする。
大画面ディスプレイは、従来のクルマのメータークラスタの役割に加えて、オーディオやカーナビゲーション、メールやSNSの通知などさまざまな情報の表示に用いる。自動運転中はテレビ会議などにも使用する。
将来的にクルマと自宅がネットワークに接続すると、不在時の来客をクルマに居ながら確認できるようになるとしている。
ディスプレイの表示のレイアウトはドライバーが自由に変更できる。視線検知センサーを活用して複数のディスプレイの中でドライバーが注視している部分を判別しており、ドライバーがジェスチャー操作を行えば注視したい部分をメータークラスタに大きく表示することが可能だ。
自動運転中の快適さを重視して大画面ディスプレイを多用しているが、ドライバーの運転中の使いやすさについても配慮している。。
例えば、コンソールのタッチパネルはボタンやスイッチのような触感を感じられるハプティック技術を搭載した。アイコンの配置など表示に合わせて触感のフィードバックを変化させることができるという。また、ボタンやスイッチと同様に押し込む設定とし、確実な操作感を得られるようにした。指先の圧力の強弱も検知し、押し方によって異なる機能を起動できるようにしている。
自動運転を実現するには、車両の制御を高度に自動化するだけでなく、ドライバーが自動運転中に快適かつ自由に過ごせるための提案が不可欠といえそうだ。
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