シャープが2016年4月に発売した「蚊取空清」は、蚊取り機能を持つ「世界初」の空気清浄機である。なぜ空気清浄機に蚊取り機能を持たせたのか、開発にはどのような苦労があったのか。小寺信良氏が探る。
扇風機、換気扇、エアコン、加湿器、除湿器など、空気のコンディションを操作する家電は、もはや家庭内に当たり前に存在している必要家電だ。しかし空気清浄機は、同じ空気を扱う物の中では必要家電とはいえず、「あったら便利」を実現する「便利家電」である。
ただ、案外皆さんの家庭にもあるのではないだろうか。基本的な機能のものなら1万円台からあるし、子どもが生まれたのをきっかけに導入したという方も多いだろう。筆者もそうである。
ハウスダストの問題は20年以上前から言われているし、花粉症などのアレルギーを持っている人は特に空気には気を使っているはずだ。最近では中国からのPM2.5飛来の問題などで、空気に対する関心も高まった。もともときれい好きな日本人にとって、空気清浄機は国民性を象徴するような家電製品といえるだろう。
そんな中、シャープが世界初となる「蚊取空清」を製品化し、2016年4月から日本での販売を開始した。空気清浄機に蚊取り機能をプラスした商品で、進化ポイントの少なかった空気清浄機ジャンルでは、久々のヒット商品となっている。空気清浄機が蚊を取るというコンセプト、当初は東南アジア市場向けの製品だったことなど、その開発の舞台裏への興味はつきない。
今回は、シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 健康・環境システム事業本部 空調・PCI事業部 第二商品企画部長の冨田昌志氏に、開発の背景から製品化の苦労などについてお話を伺った。
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