日産自動車は、「人とくるまのテクノロジー展2016」において、現行の電気自動車「リーフ」と比べて容量が倍増の60kWhにしたリチウムイオン電池パックを参考出品した。走行距離は現行リーフの倍増とまでは行かないものの、544kmまで走った実績があるという。
日産自動車は、「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25〜27日、パシフィコ横浜)において、現行の電気自動車「リーフ」と比べて容量が倍増の60kWhにしたリチウムイオン電池パックを参考出品した。走行距離は現行リーフの倍増とまでは行かないものの、544kmまで走った実績があるという。量産モデルでの搭載は未定。
現行のリーフはリチウムイオン電池パックの容量ごとにグレードがあり、24kWhと30kWhの2種類が用意されている。JC08モードの走行距離は24kWhで228km、30kWhで280kmだ。
参考出品したリチウムイオン電池パックは、現行のリーフに搭載しているものから電極材料とモジュールのレイアウトを見直し、走行距離を大幅に伸ばすことを目指して開発された。電極材料は、正極に三元系を、負極は「シリコン系と似た特性のあるもの」(日産自動車の説明員)を採用した。
また、現行リーフに搭載しているリチウムイオン電池パックは、4セルもしくは8セルから成るの電池モジュールから構成されている。この電池モジュールは、保持のためにモジュール缶と呼ばれる金属製のケースに収めており、バッテリーの状態管理もモジュール単位で行っていた。参考出品したリチウムイオン電池パックは「より大きな単位で状態を管理し、モジュール缶なしでも安定して保持できるレイアウトに変更している」(同社の説明員)としている。
参考出品したリチウムイオン電池パックは、現行のリーフよりも少し高さが増えているという。搭載するセル数も現行のリーフより若干増加したとしている。
リーフの倍の容量となる60kWhのリチウムイオン電池を電気自動車に搭載すると、充電時間は倍に増える。「現行のリーフで急速充電器を使用した場合、0〜80%までの充電に30分程度要するが、1時間の充電をどこまで許容してもらえるか。充電時間を短縮するには、より高出力な充電器を開発し、充電中の発熱を抑える冷却機構も用意する必要がある」(同社の説明員)という。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年5月、電気自動車の走行距離を500kmに引き上げるにはリチウムイオン電池では限界があると見て、新しい蓄電池の開発に取り組むことを発表した。しかし、リチウムイオン電池にも伸びしろが残っているようだ。
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