矢野経済研究所は、2020年までの電動パワーステアリングの市場調査についてまとめた。電動パワーステアリングと電動油圧パワーステアリングの合計で、2020年の市場は2015年の見込み比35.0%増の6890万台に達する。2020年に、コラムタイプが同41.6%増の4035万台、ラックタイプは同59.0%増の2305万台に拡大する。
矢野経済研究所は2016年4月14日、2020年までの電動パワーステアリングの市場調査についてまとめた。電動パワーステアリングと電動油圧パワーステアリングの合計で、2020年の市場は2015年の見込み比35.0%増の6890万台に達する見通しだ。タイプ別では2020年に、コラムアシストタイプが同41.6%増の4035万台、ラックアシストタイプは同59.0%増の2305万台に拡大するとしている。北米や中国、南米やアジアでの搭載が増加する見込みだ。
2020年に向けて、世界各国が燃費規制をより厳しくしていく。これまで厳しい規制が行われなかった米国は、2017〜2025年で小型トラックと乗用車の企業平均燃費を54.5mpg(約23.2km/l)とする目標を設定。中国は乗用車の平均燃費を2020年に5.0l/100km(約20km/l)に改善する目標を課す。
市場を問わず燃費改善が求められる中で、電動パワーステアリングは油圧パワーステアリングと比較して3〜5%の燃費低減を図ることができるため、搭載拡大が進む。
既に電動パワーステアリングが標準搭載となっている日本や欧州では、自動運転を見据えて自動車向けの機能安全規格であるISO 26262への対応や、制御回路の2系統化など進化が進んでいる。
電動パワーステアリングの高出力化と、故障時にも操舵アシストを継続できるシステムの開発がテーマとなる。
2015年の電動パワーステアリングの市場は5100万台を見込んでいる。このうち、電動油圧パワーステアリングが400万台を占めている。電動油圧パワーステアリングは、電動パワーステアリングと比較して燃費改善効果が小さく制御性が劣るため、搭載は減少傾向になるとしている。
2015年の電動パワーステアリングの市場は、過半数をコラムアシストタイプが占めている。低コストで搭載性が高いため、小型車の需要が大きい地域を中心に今後も搭載が増加する見通しだ。ラックアシストタイプはピックアップトラックやSUVでの需要が増加する。電動油圧パワーステアリングが搭載されてきた車種を電動パワーステアリングに置き換わる傾向が進む。これまでラックアシストタイプは欧米のサプライヤが供給してきたが、日系サプライヤも開発に積極的に取り組んでいる。
ピニオンアシストタイプは、コスト面でコラムアシストタイプに、出力面はラックアシストタイプに劣る。このため、サプライヤは積極的に提案しておらず、一部の自動車メーカーはピニオンアシストタイプから他のタイプに変更し始めている。ピニオンアシストタイプは搭載の伸長が見込みにくいとしている。
地域別では、北米と中国で電動パワーステアリングの搭載が急拡大するとしている。南米やアジアでも搭載数が増加するため、電動パワーステアリングの市場は拡大傾向だ。地域ごとのシェアは、中国が2015年の18.4%から2020年に22.6%に、北米は20.6%から20.7%に増加する。新興国などその他地域も15.3%から18.4%にシェアが拡大する。
一方、日本は14.8%から10.9%に、欧州では30.9%から27.4%にシェアが減少する。日欧は既に電動パワーステアリングの普及が進んでいるため、自動車の生産台数と連動した成長になっていく。
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