オールインワン型歯科用X線CT装置の開発開始医療機器ニュース

東北大学は、同大学大学院歯学研究科が、他施設と共にオールインワン型歯科用X線CT装置の製品化を目的とした研究開発を開始したと発表した。歯科診断において、1台の装置で診査目的に応じた診査が可能となる。

» 2016年01月27日 08時00分 公開
[MONOist]

 東北大学は2016年1月12日、同大学大学院歯学研究科が、歯科診断において1台の装置(オールインワン)で診査目的に応じた診査が可能となる、「歯科用X線CT装置」の製品化を目的として、他施設と共同研究開発を開始したと発表した。

 現在の歯科X線撮影法は二次元画像が一般的で、複雑な構造の顎顔面領域の診断性能を満たしていない。さらにデンタル、パノラマ、セファロ、CTなど多数の撮影装置が必要で、コストとスペース増につながる上、それぞれの装置で画像管理が必要だった。依然としてフィルムを使用しており、デジタル化されていないという課題もある。

 また、患者にとっても、複数機器による撮影で被ばく回数が増えてしまう、口内法であるため苦痛を感じる(嘔吐反射、開口障害)、CCDセンサーを使い回すことによる院内感染のリスクなどの問題があった。

 今回開発するのは、歯科X線投影法を統合し、患者の被ばくを低減するオールインワン型X線CT装置だ。歯科レントゲン撮影で必要なパノラマ、デンタル、セファロ、CT画像が1台で全て撮影可能となる。新型半導体CdTe(カドミウムテルル)を駆使し、X線デジタルセンサーの感度を高めることで、低被ばく線量でありながら鮮明な画像が出力可能だという。データはDICOMフォーマットで管理。コスト、スペースを大幅に低減でき、院内感染の機会が減少するといったメリットもある。

 この装置を低価格でリリースし、個人医院のスタンダード装置として現在10%程度であるCT装置の普及率を30%まで向上させ、歯科診断技術の向上を目指すとしている。

 国内では2017年9月に薬事申請し、2018年3月に販売を開始する予定だ。海外市場(中国・東南アジア)では、2018年3月に申請、2019年3月に販売開始する。

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