「2016 International CES」の基調講演に、フォルクスワーゲン乗用車ブランドの取締役会長を務めるヘルベルト・ディース氏が登壇した。ディース氏は、新世代のフォルクスワーゲンを進める「4つの柱」と「3つの段階」を説明。それらを明示するコンセプトカーとして「e-ゴルフ タッチ」と「BUDD-e」を披露した。
世界最大級の消費者向けエレクトロニクス展示会「2016 International CES」(2016年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)の開催前日に当たる2016年1月5日、Volkswagen(フォルクスワーゲン)乗用車ブランドの取締役会長を務めるヘルベルト・ディース氏が基調講演を行った。ディース氏は、前職はBMWの研究開発部門の担当取締役だった(関連記事:BMWのハイブリッドにはスポーティさが必要、「プリウス」とは思想が異なる)が、フォルクスワーゲンに電撃移籍。2015年7月、現職に正式に就任したばかりだ。世間を騒がせている排気ガス不正問題への対応を含めて、今後のフォルクスワーゲンの行方を占う際に注目されている人物だ。
2015年9月中旬に、米国市場における同社のディーゼルエンジンのNOx排出量不正問題が大きな話題になった後、CESを実施するCEA(全米家電協会、現在は全米民生技術協会:CTAに改称)からの打診があり、わずか3カ月の準備期間ながら基調講演への登壇を決めたという。
講演には2000人を超えるメディアや業界の関係者が集まり、会場は熱気に包まれた。ディース氏は、冒頭でアメリカでのディーゼルエンジン車の排気ガス不正問題に触れた。この問題の対象となる車両は世界では約110万台にのぼり、2016年内には対応が完了する計画だという。米国内における対象車となる約50万台については、現在、米国環境保護庁(EPA))とカリフォルニア州大気資源局(CARB)と協議中だ。
排気ガス不正に関する謝罪から始まったが、その後に続く内容はフォルクスワーゲンが電動化とデジタル化に大きく舵を切ることを強く意識させるものだった。ディース氏は、「新世代のフォルクスワーゲンは『電動モビリティ』『フルコネクテッド』『自動運転』『ユーザー体験』の4つを柱に、モビリティの新しい体験を提供する」と訴えた。そのためには、「近い将来」「次の大きなステップ」「モビリティの新しい世界」という3段階に分けて将来戦略を進めていく方針だ。
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