量子もつれ光を用いた超高分解能光断層撮影技術を開発医療機器ニュース

京都大学は、量子もつれ光を用いた2光子干渉により、分解能0.54μmに相当する2光子量子干渉縞を実現したと発表した。同成果は、今後、緑内障の早期診断などにつながる可能性が期待される。

» 2016年01月05日 08時00分 公開
[MONOist]

 京都大学は2015年12月15日、量子もつれ光を用いた2光子干渉により、分解能0.54μmに相当する2光子量子干渉縞を実現し、さらに群速度分散耐性を実証したと発表した。同研究は、同大学工学研究科の竹内繁樹教授、岡野真之特定研究員、岡本亮助教らの研究グループによるもので、成果は同月14日、「Scientific Reports」に掲載された。

 光干渉断層撮影技術(光コヒーレンストモグラフィ)は、眼科分野において、網膜などさまざまな組織の診断技術として普及している。しかし、これまで深さ分解能は、5〜10μm程度に制限されていた。その課題を解決するため、2002年に量子もつれ光の量子干渉を利用する量子光干渉断層技術が提案された。同技術では、原理的に群速度分散による分解能の劣化がなく、高い分解能が期待されるという。

 今回、研究チームでは、広い帯域を持つ量子もつれ光源を開発し、0.54μmの分解能に相当する量子干渉縞を可能にした。従来の光断層撮影の原理検証で記録された世界記録0.75μmを超える値で、さらにこの超高分解能が、分散媒質(水)などによってほぼ影響を受けないことも実証した。

 同成果により、1μmを下回る分解能を持つ量子光断層撮影装置の開発が期待されるという。それにより、網膜の厚みの高精度モニタリングによる緑内障の発症前診断など、医療分野をはじめとするさまざまな計測技術への波及が期待されるとしている。

photo 実験結果

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