トヨタ生産方式と設備保全、IoT活用をどう考えるかトヨタ生産方式で考えるIoT活用(2)(2/4 ページ)

» 2015年11月05日 07時00分 公開

設備保全の“壁”となる4つの課題

 しかし現在、予防保全業務を行おうと思っても、それを阻む障壁となっている複数の課題が存在します。主な4つの課題を以下に紹介します。

1.老朽化した設備が多く、故障発生率が高くなっている

 設備の耐用年数として約8年〜10年償却で設備投資をしているが、日本国内では数年前まで海外での現地調達に切り替える風潮あり、15年以上同じ設備を使い続けている製造業も多くあります。そのため故障の頻度が高くなっているという課題です。

2.打ち切り対象が不明確なため、金型の管理点数が多くなっている

 トヨタ系の自動車部品メーカーでは乗用車だけでなく、耐用年数が長いトラックなどの産業用車両の生産や、かんばん生産でないトヨタ以外の完成車メーカーの生産を行っている企業も多く存在します。自動車部品はモデルチェンジにより、新型モデルに切り替わりますが、旧型モデルが故障した際の部品交換の注文にも対応しなくてはなりません。

 その対応期間についても一定の取り決めがありますが、15年以上経過しても注文が来ることが多々あります。そのため、特定の金型を廃止するという判断が難しく、金型の管理点数が多くなっていきます。

 多くの製造現場では量産段階の部品金型はすぐ移動できる場所に保管していますが、たまにしか使用しない金型は別の場所に保管して、注文がきたときに持ってくるという場合が多いです。保管している金型の数を比較すると、旧型モデルの金型の数は量産段階の金型の約2倍以上になるといわれています。

3.製造条件が季節変動で変わる

 成形工程や熱処理工程など温度に左右される工程では、夏と冬で加工時間や良品を作れる製造条件が変動します。しかしながら、製品設計、工程設計を経てその情報を製造部門に移管をする段階では、製造条件や加工時間などの原単位情報を一律で設定しています。製造部門ではその通りに加工しても必ず良品ができるとはいえないのが実情です。

4.設備仕様や定期点検記録が紙管理で、現場でしか把握できない

 トヨタ生産方式を採用している、していないに問わず、多くの製造業で一般的に「設備カルテ」と呼ばれる設備仕様を記載した資料や、定期点検の記録は紙で原本管理されており、それが製造現場に点在しているのケースをよく見かけます。

 この場合、現場管理者は現場に行けば設備の状況を把握することが出来ますが、工場全体でどんな仕様の設備がどこに配置されているか、その設備の点検項目が妥当か、適宜実施できているか即座に把握することが困難な状況です。

設備保全管理上の主な課題(クリックで拡大)出典:アムイ

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