一方アクティバの方は、スタイルに対してタイヤの大径化とサスペンションの変更で30mmのリフトアップスタイルを作っている。その他パーツでのスタイルとの違いは、前後バンパーとアンダーガード、サイドドアモール、前後フェンダーのアーチカバー、バックドアに付くガーニッシュといった部分が異なる。
ベースとなる乗用車をリフトアップして、ボディの下側にガード類をイメージするパーツを装着するという手法は、スバル「レガシィ」の「アウトバック」に始まり、Audi(アウディ)の「オールロードシリーズ」や、Volvo Cars(ボルボ)の「クロスカントリーシリーズ」へと続いている、「クロスオーバーテイスト」な派生車を作る際のお約束な様式(記号性)だ。アクティバもこれを取り入れている。
インテリアにおいても、静的なスタイルの印象とは対照的に、アクティバでは動的・スポーティーさを、インパネ形状や色遣いなどで出そうとしているところは外観と同じだ。アクティバのインパネ助手席側は、ふたのないオープントレイ形状となっており、この開口部のカーブに合わせて装着される加飾パネルもボディカラーを反映したブルーの塗装パネルと、同じくブルーのドアトリムの組み合わせで遊びの要素を感じさせる。ホビーギアのような印象に全体イメージで一貫性を持たせるべく、共通化になりそうなメーターにおいても、文字盤の色や数字の書体が選ばれているあたりは、開発コストが厳しい軽自動車ながら手を抜いていない。
アクティバに乗り込んでみると、「ベース車両」ともいえるスタイルがちょっと視点の高いドライビングポジションを持つせいか、30mm車高が上がったからといってさらに高いところから見通しが良くなったというような大きな体感の差はなかった。
むしろ扁平率が上がって直径が大きくなったタイヤや、サスペンションのセッティングが効いているのだろう、スタイルより乗り心地もよかったのが好ましかった。運転している時点では「キャストさん」のことを知らなかったこともあり、キャストというクルマは、アクティバだけの方がキャラクターを作りやすくていいんじゃないの? と思ったのが正直な感想だ。
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