ミマキエンジニアリングは、開発中のフルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの試作機を用いた「フルカラー3Dプリントサービス」を、子会社であるグラフィッククリエーションが開始したことを発表した。
ミマキエンジニアリングは2015年9月11日、開発中のフルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの試作機を用いた「フルカラー3Dプリントサービス」を、同社連結子会社であるグラフィッククリエーションが開始したことを発表した(関連記事:世界初「1000万色フルカラー3Dプリンタ」を活用した造形出力サービス)。
3Dプリンタ市場の成長を見据え、ミマキエンジニアリングは業務用UVインクジェットプリンタの開発/製造で培ってきた技術力を生かし、「フルカラーでより美しい色表現」「滑らかで高精細な造形」を実現する、「世界初」(同社)をうたうフルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタを開発(試作段階)。ホビーや記念品などのコンシューマ向けカスタムメイドや、産業分野における最終製品の造形などをターゲットにしているという。
「現在、フルカラーに対応している3Dプリンタの出力方式は石こうを用いた『インクジェット粉末積層方式』か、紙などの薄いシート状の材料を積層する『シート積層方式』だ。われわれはこれまで培ってきた技術を生かし、UVインクジェット方式で世界初のフルカラー造形を実現した」(同社)。
ミマキエンジニアリングのフルカラーUV硬化インクジェット方式は、高精細な造形に適した独自開発のUV硬化インクおよびサポート材を、同社の吐出技術により正確に噴射し、インクのレイヤーを一層一層積み上げていきながら3Dモデルを造形していく。また、色表現についても同社独自の着色方式により1000万色以上のフルカラーに対応する。「インクの着弾を正確にコントロールできるので、細かな文字や線、写真なども高精度に表現できる。また、積層ピッチも32μmと非常に細かく表面を滑らかに仕上げることが可能。細かな積層ピッチで造形するため、従来の石こう方式よりも造形時間はかかるが、色数、発色、画質、精度、表面仕上がり、強度の面において優位性がある」(同社)。
さらに、表現力においても従来方式にはない強みがあるという。開発中の3Dプリンタはクリアインクをサポートし、これを単体で使用すれば透明な造形が可能。また、カラーインクとの組み合わせにより有色スケルトンや内部構造の可視化を実現した造形が可能になる。「グラフィッククリエーションが開始するフルカラー3Dプリントサービスでも2015年以内にはクリアインクを用いた透明表現に対応する予定だ」と同社。また、独自開発のUV硬化インクは柔軟性もあり、曲げやねじりにも強く、ネジ切りやドリルによる穴開けといった2次加工にも対応できるという。
「フルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの販売は2016年秋を予定しているが、まだ試作段階であるため詳細なスペックや価格については答えられない。グラフィッククリエーションによるフルカラー3Dプリントサービスの展開を見ながらターゲットを定め、仕様なども固めていきたい」(同社)。
グラフィッククリエーションによるフルカラー3Dプリントサービスでは、フルカラーUV硬化インクジェット方式3Dプリンタの試作機を使用。造形サイズは10×10×10mm〜290×190×149mmまでに対応し、フルカラーで出力する場合はOBJ形式か3MF形式で3Dデータを準備する必要がある。また、造形品質を担保できるよう肉厚やクリアランスなどの規定が定められている。
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