他、頭文字の意味は以下です。
SとFは前回の「切削条件」のくだりに出てきましたね。Fの「送り速度」とは、X,Y,Zの移動速度のことで、単位はmm/min(分速ミリメートル)で「F○○○(数値)」と表されます。Sの「主軸回転数」とは、主軸の周速です。こちらはmin-1(毎分)あるいはrpmという単位で、「S○○○○(数値)」で表されます。
学習用サンプルとして、当連載で作成した「ペットのネームプレート」のCNCファイルをダウンロードでご提供します。
実際にお使いになるCNCソフトとの相性の関係でうまく読み込めないなどのトラブルもあるかと思いますが、サンプルデータであることをご理解いただき、自己責任の範囲でご活用ください。
それではUSBCNCに戻りましょう。無事にプログラムの読み込みができたところで、本番前のリハーサルをします。USBCNCは、G-Simpleと同じようにアイソメ表示(3Dっぽい表示)ができるので、表示を変えてみましょう。
ホーム画面下の操作ボタン群から、赤丸で囲んだ黒いボタンをクリックします(図13)。
そして切り替わった操作ボタン群から、赤丸で囲んだ「知恵の輪と積み木」のようなアイコンをクリックします(図14)。
すると、工具の軌跡表示がアイソメ表示に変わります(図15)。
左下に見える、紫色の頭がついた棒のようなものは「主軸」です。単なる外形加工なら2D表示のままでも気になりませんが、ポケット加工を含んだワークの場合は、やはりアイソメ表示の方が分かりやすいですね。
さあ。心を落ち着かせて、緑の「実行ボタン」を押してみましょう(図16)。
実行ボタンを一度押すと「Job stopped」のメッセージが出ます。これはエラーではなく、一行手前の「N5 M00」という命令のためです。
さて、「M00」って何でしたっけ? 先ほど説明したM機能の一覧に戻ってみましょう。「M00はプログラムの一時停止」となっていますね。これはG-Simpleのおせっかいなのか……、出鼻をくじくように一時停止してくれます。このおかげで、切削開始直前に「ツールは正しいものがちゃんと着いているのか」を確認できるメリットはあります。
なので、「ちゃんと確認したよ」と心でつぶやきながら、再度「実行ボタン」をクリックします(図17)。
「please load tool 1」。このメッセージが出たら、もう一度実行ボタンをクリックして進みます(図18)。
さあ、どうでしょうか……。
プログラムが実行されると、主軸(あの紫頭の棒)がツールの軌跡をたどって動き出します。そして青い線で描かれていた軌跡がだんだん黄色になっていきます(図19)。
ツール交換時にはプログラムが一時停止しますので、「実行ボタン」でプログラムを先に進めていきましょう。プログラムが最後まで問題なく進むと、最後にプログラムは先頭に戻ります。そこまで確認ができたら、いよいよ本番に入ります。
次回は、切削加工の本番です。本番ですよ!
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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