類似形状のパターン認識や設計意図のくみ取りなどが強化された「Solid Edge ST8」CADニュース(1/2 ページ)

シーメンスPLMソフトウェアは、ミッドレンジ3次元CAD「Solid Edge」の最新バージョンである「Solid Edge ST8」に関する記者説明会を開催。ST8ではシンクロナス・テクノロジーの使い勝手の向上や多くの機能強化などがなされ、設計の効率化と製品の市場投入期間の短縮を支援するという。

» 2015年06月15日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 米Siemens PLM Software(以下、シーメンスPLM)の日本法人であるシーメンスPLMソフトウェアは2015年6月12日、ミッドレンジ3次元CAD「Solid Edge」の最新バージョン「Solid Edge ST8」(以下、ST8)に関する記者説明会を開催した。

 今回のST8では、ダイレクトモデリングとパラメトリック機能が融合したシンクロナス・テクノロジーの使い勝手の向上、柔軟な購入・利用環境の提供、ユーザーサポート機能の強化などがなされており、「Design without boundaries 〜垣根のない設計環境〜」を実現するという。

シンクロナス・テクノロジーの使い勝手が向上

 ST8の機能強化としては、まず類似形状のパターン認識が挙げられる。IGESやSTEPのような中間ファイル形式で取り込んだモデルには、パターン情報が付加されていないが、ST8ではそれらをパターンとして認識し、配置するパターン数を任意で変更することができる。「ノンヒストリ(モデリング履歴のない)型モデルからパターン認識を瞬時に行える点が、ST8の新しい特長の1つである。インポートした部品データの再利用・編集が容易にできるようになった」(同社)。

パターン認識1パターン認識2 ノンヒストリ型のモデルからパターンを認識し、瞬時にパターン数を任意に変更できるようになった ※画像クリックで拡大表示

 さらに、設計意図のくみ取りも強化されている。先ほどと同じく、ノンヒストリのモデルをそのまま取り込むと、フィーチャー情報がないため、設計意図などが分からないケースがある。Solid Edgeでは、フィーチャーがないところから規則性などを見いだして、それを自動的に維持しようとする機能が備わっている。その機能がST8でさらに強化された。

 まず、ST8ではフェースをクリックすると、操作している面のすぐ近くに最も良く使われる[対称][同心][位置揃えされた穴][同一平面上]の4つのルールが半透明のパネル上に表示される。そして、設計者が編集を開始すると今働いている有効なルールだけが残ってパネルに表示される(不要なルールは自動的に非表示になる)。「この新しいインタフェースにより、設計者の方に、今Solid Edgeが何をしているのかを分かりやすく伝えることができる。また、有効なルールの中から、設計者が任意にルールを取捨選択することも可能だ。従来バージョンのように画面の下にずらりと並んだメニューから選んでもらう必要がなくなった」(同社)。また、ST8では、履歴のないところでの形状認識の機能も格段に向上し、あたかも独立したフィーチャーのようにモデル形状を編集することが可能になったという。

設計意図1設計意図2 よく使うルールが半透明のパネルに表示され、作業に応じて有効なものだけが表示される ※画像クリックで拡大表示

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