ST8では、パターンの表制御にも対応する。例えば、1つだけモデリングしたボスのオス形状をExcelの表(X、Y、回転角度)に基づいて簡単にパターンコピーできるようになった。「ボス部にはオス/メスあるが、同じようにボスのメス形状を1つだけモデリングしておいて、この表のX軸だけ反転させれば、対象となる位置に一瞬でパターンコピーを作ることも可能だ」(同社)。
また、従来バージョンにもあったデジタルモックアップ機能がより強化された。これまでアニメーションを作る場合、物体を並進方向にある一定の速度で動かす、あるいは回転するの2つのコマンドしかなかった。ST8では、こうした単純な直線運動、回転運動に加えて、モデルに付加された1つ1つの細かなパラメータに対して、開始点/終了点の値を設定でき、指定した増分値で動かすことが可能となった。また、これまでアニメーション動画の出力形式はAVIファイルのみだったが、WMVファイルへの書き出しにも対応した。
新たに、建築用のファイル形式であるIFC(Industry Foundation Classes)へのダイレクト変換にも対応した(IFC2x3、IFC4)。通常、メカ系CADで作成したデータは詳細かつファイルサイズも大きくなるので、そのまま建築CADに取り込むのは負荷の問題から適しているとは言い難かった。「そのため、変換の際に形状を単純化する処理を行っている(ST8以前からある機能)」(同社)。
さらに、ST8では図面同士を比較したいというニーズに応えるため、2つの図面の差分を簡単に比較できる機能を追加した。2つのCADデータをそれぞれ画像データに変換し、イメージ比較によりピクセル単位で差分を抽出するという。
解析機能としては、トポロジーメッシングが強化された。ST8から大きな面はメッシュを粗く、狭い面はメッシュを細かくするように、フェースのサイズにあわせてメッシュの大小を自動的に制御する機能をサポートした。
その他、操作手順をテキスト/動画などで支援するユーザーアシスト機能の強化や、チュートリアル/学習カリキュラムの充実などが図られている。
以上のようなST8のフル機能を、Windows 8.1搭載タブレット端末でも動作させることができる。また、マルチタッチインタフェースにも完全対応し、タッチスクリーンから全機能の実行が行えるという。「特に、ST8のリリースに向けてマイクロソフトと連携し、『Surface Pro 3』上でST8がスムーズに動作するようにチューニングを進めてきた」(同社)という。
ST8の提供開始は、同年7月後半を予定。製品グレードは、利用できる機能などに応じて4つ用意されており、それぞれ従来通り、1カ月単位でオンライン購入することができる。以前から、日本と米国、イギリスのみで始めていた月額制が、ST8のリリースのタイミングとほぼ同時に、アジアパシフィック、欧州、南米国にも展開される予定だという。「繁忙期だけ使うだとか、月によって高機能版、あるいは最小構成版を使うといった柔軟な選択/切り替えが可能となる」(同社)。
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