人間協調型の産業用ロボットベンチャーであるデンマークのユニバーサルロボット(UNIVERSAL ROBOTS)が日本向けの事業説明会を開催。新たに注目を集める人間協調型ロボットだが、同社は安全性とともに簡易設定が重要であることなどを強調した。
人間協調型の産業用ロボットベンチャーであるデンマークのユニバーサルロボット(UNIVERSAL ROBOTS)は2015年5月21日、日本向けの事業説明会を開催。新たに注目を集める人間協調型ロボットだが、同社は安全性とともに簡易設定が重要であることなどを強調した。
産業用ロボットは安全性の問題から、「周辺に柵を設けて人間が立ち入れないようにしなければならない」など、安全規制が設けられている。しかし、安全関連技術が発展した他、柔軟性の高い工場を実現するには、人とロボットが共同で作業し、それぞれを支え合いながら生産を行うことが求められている。これらの流れの中で各国でも規制を緩和する動きが生まれてきており、日本でも2013年12月に規制が緩和され、安全性を確保できる何らかの処置が行われたロボットに対しては、人間と共同作業を行うことなどが可能となっている。
ユニバーサルロボットは、これらの人とともに働ける人間協調型ロボットを展開する2005年設立のロボットベンチャーだ。2008年に軽量で安全機能を備え、簡単設定が実現可能な6軸ロボットアーム「UR5」を発売。新製品の「UR3」を加え、現在までに「UR5」「UR10」の3機種を展開している。
同社の強みについて最高経営責任者(CEO)のエンリコ・クロー・イバーセン(Enrico Krog Iversen)氏は「最近は人間協調型ロボットが大きな注目を集めているが、競合他社は“安全性”の面ばかりに注目している。当社はこの安全性に加えて“簡単設定”が行えることが特徴だ」と述べる。
産業用ロボットは、安全柵の設置だけでなく、動作する作業のプログラミングや設定に時間や手間がかかることから、生産ラインを一度くみ上げると頻繁に変更を行うことは現実的ではなかった。しかし同社のロボットでは「基本的な動作であれば、最短で5分で設定可能」(イバーセン氏)としており、「ロボットを使う時に出してきて、使わない時はしまっておく、というような利用方法も可能だ」とイバーセン氏は特徴を強調する。
簡単設定のポイントは、分かりやすいインタフェースだ。簡単なプログラムを既にブロック化しており、これらをユーザーインタフェースにより、選択していくことで動作を設定することが可能だ。さらに“手伝え”でも動作を決められる。
これらの柔軟性により、同社のロボットのユーザーは、BMWのような大手の製造工場から、中小企業のオフィスなど、非常に幅広いユーザーがいることが特徴だ。プログラミングや設定などが不要であるため、ラインに組み込むような利用方法の一方で、独立して作業支援を行うような場面でも利用できる。
既に日本でも約100社への導入が進んでいるが「今後もさらに自動車や電機などさらに導入を広げていきたい」とイバーセン氏は話している。
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