ダイハツ工業は、軽自動車「ムーヴ」と「タント」を一部改良し、2015年5月11日に発売する。レーザーレーダーを用いる運転支援システム「スマートアシスト」に単眼カメラを追加した「スマートアシストII」を採用した。自動ブレーキが動作する最高速度が時速30kmから時速50kmまで拡大し、歩行者認識やレーンキープも可能になった。
ダイハツ工業は2015年4月27日、軽自動車「ムーヴ」と「タント」を一部改良し、同年5月11日に発売すると発表した。2012年12月の「ムーヴ」の大幅改良から展開してきた、レーザーレーダーを用いる運転支援システム「スマートアシスト」に単眼カメラを追加した「スマートアシストII」を採用したことが特徴となる。税込み価格は、ムーヴのベースモデルが113万4000〜150万6600円、同カスタムモデルが140万4000〜180万3600円、タントのベースモデルが122万400〜165万7800円、同カスタムモデルが152万8200〜187万3800円。
従来のスマートアシストは、車両前部に搭載するレーザーレーダーと、2014年12月発表の新型ムーヴから搭載を始めたリヤバンパーに組み込む超音波センサーを用いていた。今回発表した「スマートアシストII」では、フロントガラス内部(ルームミラーの裏側)に単眼カメラを新たに搭載した。
単眼カメラの搭載によって、前方車両との衝突を防ぐ「衝突回避支援ブレーキ機能」や「衝突警報機能」の機能が向上するとともに、新機能も追加された。
まず、いわゆる自動ブレーキである衝突回避支援ブレーキ機能については、従来は走行速度が時速約4〜30kmの範囲でしか動作しなかったが、スマートアシストIIでは時速約4〜50kmに動作範囲が拡大した。ただし、前方車両との速度差が約30km以内でなければ動作しない。また、衝突回避可能な速度差が時速約4〜20km、衝突被害軽減可能な速度差が時速約20〜30kmという点に変わりはない。
前方車両を認識して、衝突の危険性がある場合にドライバーに警告する衝突警報機能については、従来の動作範囲が衝突回避支援ブレーキ機能と同じ時速約4〜30kmだったところを、時速約4〜100kmと大幅に拡大した。さらに、単眼カメラを用いることによって、時速約4〜50kmの範囲で歩行者を検知し、衝突の危険性がある場合にドライバーに警告する機能も加わった。
これらの他、単眼カメラを使って、時速約60km以上で走行している際に道路の白線を検知し、ウインカーを出さずに車線から車両がはみ出しそうになるとドライバーに警告する「車線逸脱警報機能」も加わった。
タントについては、新型ムーブから加わった、リヤバンパーに組み込んだ超音波センサーによる後方誤発進抑制機能も搭載される。
今回の一部改良では、ムーヴ、タントとも、全グレードにスマートアシストII非搭載車と搭載車が設定されている。例えば、非搭載車のグレード名が「L」の場合、搭載車は「L“SAII”」となる。搭載車と非搭載車の価格差は税抜きで6万円である(ムーヴのLグレードのみ7万円)。
スマートアシストの場合、搭載車と非搭載車の価格差は税抜きで5万円だった。単眼カメラの追加による機能向上とともに、1万円の値上がりとなった。
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