さらに、他社CADデータとの連携も強化されている。従来のInventor 2015では他社CADデータをインポートして、それをInventor用に変換し、パーツ/アセンブリとして取り込むことができた。これに対し、Inventor 2016ではインポート時に2つのオプションを用意。1つは従来と同じ変換して取り込むもので、もう1つは他社CADデータを参照するオプションだ。参照で他社CADデータをインポートすると、リンクされた状態でInventor 2016のパーツ/アセンブリとして扱えるようになる。「参照オプションの場合、オリジナル側で設計変更があった場合でもリンクされた状態にあるので、その変更がInventor 2016側にも瞬時に反映される」(同社)。
さらにこの変更に併せて、DWGファイルとの連携も強化。これまでのバージョンだとDWGファイルをInventorにインポートすると、元のDWGファイルとの参照関係は切れてしまっていたが、Inventor 2016からは元のDWGジオメトリを維持しながら取り込むことが可能になった。その他、電気設計CAD「AutoCAD Electrical」との連携も強化され、配線や参照、接続情報などを相互で確認できるようになっている。
同社は3Dプリンタの利用を支援する機能にも力を入れている。これまでもSTLファイルの書き出しをサポートしていたが、Inventor 2016では3Dプリントする際に必要なさまざまな調整が簡単に行えるメニューを用意した。「まず、標準で複数の3Dプリンタのプロファイルを用意しており、該当機種で出力可能な最大造形サイズと、出力したい3Dモデルデータを比較して加工可能な範囲にあわせてレイアウトを変更したり、モデルの分割/ダボの追加などを行ったりできるようになった」(同社)。なお、この機能での変更(分割やダボの追加など)は元の設計データには影響を与えないようになっている。
さらに「Meshmixer」やプリントユーティリティーなどのテクノロジーを取り込んだ「Print Studio」との連携により、ダイレクトに3Dプリンタと接続することが可能となり、モデルの修正やサポート材の付加などがツール上で簡単に行えるようになった。
また、今回のInventorのバージョンアップに併せ、「Simulation Mechanical」「CFD」「Moldflow」「Nastran In-CAD」「Helius Composite」「Helius PFA」といった各種解析ツールのバージョンアップおよび製品名称の変更が行われた。そして、CADとCAEをブリッジする新製品「SimStudio tools」がラインアップに加わった。
SimStudio toolsは、Inventorや他のCADで設計された形状を読み込み、必要に応じて修正してからSimulation Mechanical、CFD、Moldflowといった解析アプリケーションを起動するものだという。
今回発表となった各種アプリケーションの製品構成や価格、提供時期などについてはこちらをご覧いただきたい。
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