OKIは、横河電機のプリント配線板生産と基板実装の拠点である横河マニュファクチャリング 青梅事業所を取得することを発表した。
沖電気工業(OKI)と横河電機は2015年3月31日、横河電機のプリント配線板生産と基板実装の拠点である横河マニュファクチャリング 青梅事業所を、沖プリンテッドサーキットに4月1日づけで譲渡する契約を締結したことを発表した。
OKIでは2002年にEMS事業を開始。海外生産が主流になりつつある中、日本品質にこだわり国内生産を続け、技術力をベースとした高付加価値製品の生産力によって成長を続けてきた(関連記事:進撃の国産EMS、沖電気が描く日本型モノづくりの逆襲)。
2016年度(2017年3月期)を最終年度とする「中期経営計画2016」においては、高度な生産技術と品質保証力を生かした「ハイエンド型EMS(生産受託)事業」を成長分野として位置付けており、さらなる強化を推進。事業拡大のために強みであるプリント配線板から最終製品組立までの一貫生産体制の強化が必要となっていた。
一方の横河電機は、高い信頼性が求められる自社の制御・計測機器向けに多種多様なプリント配線板生産を1969年より開始し、国内では唯一青梅事業所での生産を行っていた。しかし、プリント配線板生産と基板実装は、継続した設備投資が必要なこともあり、構造改革を進める中でその位置付けを見直していた。
そこで、OKI、横河電機それぞれのニーズが合致し、今回の青梅事業所の譲渡につながったという。横河電機が青梅事業所で行っていた横河電機向けプリント配線板生産と基板実装は、OKIが生産を受託し青梅事業所で継続生産を行う計画。
また、同時に横河マニュファクチャリングとOKIは、横河マニュファクチャリング甲府事業所で行っている基板実装の全てと、装置組立の一部をOKIへ生産委託する契約を締結。これによりOKIは、横河電機が国内で生産していたプリント配線板と基板実装の全量を受託するとともに、プリント配線板の生産能力を20%引き上げることに成功。EMS事業のさらなる拡大を進めていく方針だという。
OKIでは、2012年10月にも田中貴金属工業鶴岡工場を買収し、その後黒字化に成功(関連記事:OKI鶴岡工場はなぜ1年間で生産効率を抜本的に上げられたのか)。苦戦が目立つ国内生産拠点の“再生”でも手腕を発揮している。
「国内市場の縮小」「生産による差別化要素の減少」「国内コストの高止まり」などから、日本の生産拠点は厳しい環境に置かれている。しかし、日本のモノづくり力はいまだに世界で高く評価されている。一方、生産技術のさらなる進歩は、モノづくりのコストの考え方を変えつつある。安い人権費を求めて流転し続けるのか、それとも国内で世界最高のモノづくりを追求するのか。今メイドインジャパンの逆襲が始まる。「メイドインジャパンの逆襲」コーナーでは、ニッポンのモノづくりの最新情報をお伝えしています。併せてご覧ください。
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