住友ゴムは事業利益が過去最高も、業績予想未達の3要因とは製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

住友ゴム工業は2025年12月期の連結業績で、売上高と当期利益が業績予想を上回った一方で、事業利益は過去最高を更新したものの業績予想に対して950億円の未達となった。未達となった3つの要因や2025年12月期通期の連結業績の詳細を紹介する。

» 2026年02月24日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は2026年2月12日、東京都内とオンラインで記者会見を開催し、2025年12月期(2025年1月1日〜12月31日)の連結業績と2026年12月期(2026年1月1日〜12月31日)の連結業績見通しを発表した。

冬用タイヤで受注残が発生

 同社は、2023〜2027年を対象とした中期経営計画に基づく取り組みを進めてきた。この中期経営計画では、2025年をターニングポイントと位置付けており、構造改革と成長事業の基盤づくりに注力した。同年1月には、欧州、北米、オセアニア地域における四輪向けタイヤの「DUNLOP」商標権などの譲受契約を締結。同年3月には、2035年に向けた長期経営戦略「R.I.S.E.2035」を発表した。

 R.I.S.E.2035では、タイヤのプレミアム化を推進するとともに、新たな収益の柱を構築することを目指している。2025年5月には、まず北米やオセアニアの地域でDUNLOPの商標を用いたビジネスをスタートした。同年8月には、R.I.S.E.2035の一環として、AI(人工知能)ソリューションを提供する米国のベンチャー企業であるViaductの買収契約を締結。同年12月には、「DUNLOPブランド戦略発表会」を開催し、DUNLOPブランドを軸にした戦略を紹介した。

 2025年12月期通期のタイヤ販売本数は、グローバルでの競争激化やインフレなどの影響による市況停滞、一部の低採算品の販売を中止したこともあり、前期を下回った。

 これらの結果、2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比0.4%減の1兆2071億円と減収したものの、事業利益が同3.2%増の908億円となり、営業利益が同638.3%増の826億円となった。事業利益については、米国関税の影響や人件費などのコスト上昇があったが、値上げやさまざまな内部努力、米国タイヤ工場閉鎖の効果もあり、増益となった。

2025年12月期の連結業績 2025年12月期の連結業績[クリックで拡大] 出所:住友ゴム
住友ゴム 代表取締役社長の山本悟氏 住友ゴム 代表取締役社長の山本悟氏 出所:住友ゴム

 住友ゴム 代表取締役社長の山本悟氏は「当期は、ここ数年取り組んできた構造改革として対象となる約10事業と商材全てのめど付けを完了したが、大きな損失計上をすることなく終えることができた。そのため、当期利益は業績予想に対して大幅増益となる504億円となった」と話す。売上高と当期利益は業績予想を上回ったが、事業利益は過去最高を更新したが950億円の業績予想に対して未達となった。

 事業利益が未達となった要因は3点だ。1点目は国内での冬用タイヤ販売の影響となる。2025年の冬は早めに降雪が生じ、東北などの降雪地域や他のエリアで冬用タイヤの受注が想定以上に積み上がり、受注残が発生。同社は全国に配置した在庫で対応したが、受注サイズと在庫サイズでミスマッチが起き、2025年末までに出荷できず、受注残に加えキャンセルも生じ、減益要因となった。

 2点目は、北米での大口顧客との取引条件変更に伴い、在庫調整の影響で約9億円の減益が生じたことだ。なお、1点目と2点目のいずれも2026年12月期には影響しないという。

 3点目は、上記の2点の影響で在庫数量が増加した他、為替の円安影響によりタイヤの未実現利益が23億円程度の利益マイナスになったことにある。

2025年12月期の連結業績の予測(左)と実績(右) 2025年12月期の連結業績の予測(左)と実績(右)[クリックで拡大] 出所:住友ゴム

 2025年12月期のトピックスとしては、構造改革の他に、「SYNCHRO WEATHERのサイズ拡大」「欧・米・豪におけるDUNLOPブランド拡大」が挙げられた。「SYNCHRO WEATHERのサイズ拡大」では、2025年10月末に次世代オールシーズンタイヤである「SYNCHRO WEATHER」を98サイズ(18インチ以上:56サイズ)に、同年12月末には100サイズ(18インチ以上:56サイズ、軽自動車用:2サイズ)とした。2026年3月末には112サイズ(18インチ以上:67サイズ、軽自動車用:2サイズ)とする予定だ。

 「欧・米・豪におけるDUNLOPブランド拡大」では、豪州では2025年8月に、北米では同年12月末に住友ゴムの商品を販売開始し、欧州では2026年1月末にDUNLOPブランドでオフテイク品(他社生産品)を発売した。

 山本氏は「2026年の春商戦に合わせて、ハイパフォーマンスサマータイヤ『Blue Response TG』を販売開始する。北米/豪州では、2025年に発売した自社商品のサイズ拡大や新たな商品の販売を計画している」と意気込んだ。

2025年12月のトピックスと主な取り組み 2025年12月のトピックスと主な取り組み[クリックで拡大] 出所:住友ゴム

 同期の主な取り組みとしては、「米国関税対応」と「利益創出・総コスト低減活動」がある。「米国関税対応」では、価格転嫁とコストや経費などの削減で、2025年の関税影響である130億円に応じた。「利益創出・総コスト低減活動」では、コスト低減計画「Project ARK」を2025年5月に策定し、同年7月にスタートした。Project ARKによる2025年における増益効果は28億円を見込んでいる。

米国関税影響への対応 米国関税影響への対応[クリックで拡大] 出所:住友ゴム
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