トヨタ自動車は、「Toyota New Global Architecture(TNGA)」と生産分野の取り組みについて発表した。2015年から導入するTNGAの新パワートレインは、燃費を従来比25%、動力性能を15%向上できる。生産分野では、車両モデル切り替え時の設備投資を半減する目標を達成しつつあるという。
トヨタ自動車は2015年3月26日、2011年3月に策定した「トヨタグローバルビジョン」に基づく、「もっといいクルマづくり」に向けた取り組みを発表した。
発表内容は、車両のモジュール化などによって部品の共通化を進める「Toyota New Global Architecture(TNGA)」に関する取り組みと、生産分野の取り組みの2つに分けられる。
TNGAでは、車両の基本骨格を決める重要な要素であるパワートレインユニットとプラットフォームを刷新するとともに、これらを一体的に新開発する体制を構築した。まずパワートレインユニットでは、低重心化や軽量・コンパクト化、統一設計によるモジュール化、そしてプラットフォームとの一体的な開発によって高性能・低燃費を追求。「もっとかっこいいクルマ、より卓越したハンドリングにも貢献する」(同社)という。
具体的には、エンジンの熱効率やトランスミッションの伝達効率の向上によって、パワートレイン全体(エンジン+トランスミッション)の燃費を約25%、動力性能を約15%以上向上したとする。
またハイブリッドシステム(エンジンを含めたシステム全体)では、駆動ユニットの配置見直しやモーター・インバータ・電池の小型化、高効率化を図ることで燃費を15%以上向上させたい考え。
トヨタ自動車は2015年からこれらの新パワートレインユニットの導入を始める計画。ハイブリッドシステム、トランスミッション、エンジンを順次刷新していく。
一方、プラットフォームについては、アンダーボディやサスペンションを刷新/新開発するとともに、パワートレインユニットとの一体的な開発による低重心/低配置化によって、クラストップレベルの低重心高を実現したという。「低く構えた、かっこいいデザイン、気持ち良いハンドリング、質感の高い乗り心地、安全・安心をお届けする衝突安全性能などに貢献する」(同社)という。
またボディ剛性についても、骨格構造の見直しなどにより従来比で30〜65%の向上を図る。ボディ接合へのレーザー溶接技術の採用などでボディ剛性をさらに高めたい考えだ。
この新プラットフォームの導入計画も明らかになった。まずは2015年中に発表予定のFF系中型車から導入を始め、次にFF系の小型車・大型車、そしてFR車でも、それぞれに対応する新プラットフォームを順次展開する。2020年ごろには、同社の全世界の販売台数の約半数が新プラットフォームを採用している見込みとなっている。
併せてTNGAでは、グルーピング開発による部品・ユニットの「賢い共用化」を進めており、従来比で20%以上の開発リソースの削減を見込んでいる。さらに仕入先と協力して原価低減を推進することで得られたリソースも含めて、先行技術開発や商品力強化に再投資していくとしている。
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