―― そもそもTHETAの開発は、どういったコンセプトで始まったんでしょうか。
高田 2010年ぐらいに、これからのカメラの姿を検討するワーキンググループが社内でスタートしました。カメラや写真、映像の使われ方がどう変化してきたのかというのを考えていくと、「“ハレの日”のこの一枚」という、目的が決まった記念撮影的な使われ方という形がずっと続いていた。それがだんだんフランクになる中で、本当に「日常で何げなくふっと撮りたい」という写真や映像が増えてきているわけです。
それは何を撮っているのかと考えたときに「その場の雰囲気を残したい」ということだと考えたわけです。そういう風に、写真の使われ方が変わってきているのです。では、その雰囲気を残すためにはどういうカメラが適しているのだろうと考えたときに「その場の全てのものを記録すればいい」という発想が生まれました。そこから、全天球で撮るというところにたどり着いたわけです。
―― 2010年というと、まだコンパクトデジカメも売れていたのではないでしょうか。その中にあっても、次の手を用意していたというわけですね。
高田 いえ、その当時でも既にコンパクトデジカメが徐々に頭打ちになっていくという危機感がありました。
澤口 その中で当社の中長期の計画の中で、コンパクトカメラや一眼レフ以外のところを今後の成長領域と位置付けて、何かを生み出していかないといけないということでプロジェクトチームが発足しました。全天球カメラはその最初のトライアル製品だったのです。
高田 プロジェクトでは、「既存のカメラをどう伸ばすか」というところと、「全く新しい映像製品をどう作っていくか」という、2つのチームを作りました。そしてその「新しいもの」のチームから生まれたのが「THETA」です。これをカタチにするために、組織横断型のチームができたのは、2010年秋ぐらいのことだったと思います。
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