国際ロボット連盟(IFR)は、全世界の産業用ロボット市場において2017年までに中国が、欧州と北米での稼働数を上回るという見通しを明らかにした。
国際ロボット連盟(IFR)は2015年1月28日(現地時間)、全世界の産業用ロボット市場において2017年までに中国が、欧州と北米での稼働数を上回るという見通しを明らかにした。
実際の稼働数を見てみると、中国で稼働する産業用ロボットは現在の約20万台から2017年には倍増し、40万台以上となる見込みだ。一方で北米での稼働数は30万台、欧州では34万台の見込み。中国は既に産業用ロボットの販売面では、世界最大の市場となっている。しかし、これは従来利用が少なかった中で、導入を急いでいる状況であるため。ただ、IFRが今回稼働数でも世界最大の市場となる見込みを示したことで、名実ともに中国が“世界最大の産業用ロボット市場”ということになる。
これだけ普及が加速しているにもかかわらず、中国の製造現場では製造業としての先進諸国に比べて、製造ライン当たりのロボット活用率が低く、将来的にはこれらの低い普及率がさらなる中国市場の伸びを後押しするものと見られている。
現状では、中国の製造業においては1万人の従業員当たり30台の産業用ロボットが稼働してい程度にすぎない。ドイツにおける産業用ロボットの活用率はこの約10倍であり、日本とは11倍以上という違いがある。また北米については、中国と比較して約5倍のロボットの活用率となっている。主な利用用途は各種作業(40%)と溶接(36%)となっており、主な顧客は自動車産業となっている。
「中国の自動化はまだ始まったばかりだ」とスイスABBロボティクスのマネージングディレクターのパー・バガード・ナーセス(Per Vegard Nerseth)氏は述べている。中国では現在利用されている産業用ロボットの内、80%が外資系企業によるもので、20%が中国企業によるものとなっている。これらの需要が急増する状況から、既にドイツのKUKAや、日本の安川電機、不二越などは、中国での産業用ロボット生産に乗り出しており、中国での産業用ロボットの国内生産についても、各社の取り組みが活発化している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.