漆山氏はFRPの強度計算について語った。FRPは鉄などと比べて非常に設計が難しいと考えられる。クーポン(切り取り試片)テストで引っ張り試験や曲げ試験、CFRPは剥離試験を実施して、得た情報から成形物ができると考えると、実は大きなギャップがあるという。これは実際に試験された形状と使用される形状との差が大きく、破壊モードがたくさんあるため、その形状差によって、どの破壊モードが引き金になるかを見積もるのがなかなか難しいからである。そのため実形状の強度確認が増える傾向にあるという。
そこでシミュレーションが必要になるが、それには損傷力学を取り入れたメゾレベルのシミュレーションが有効だという。シミュレーションのスケール定義としてミクロ、インフラメゾ、メゾ、マクロに分類される。ミクロでは繊維(fiber)までモデリングして、樹脂部分も再現する。インフラメゾは繊維(tow)と樹脂、メゾでは層内と層間として考え、マクロではまとめて積層材とする。織り方を決めて研究するならインフラメゾスケール、設計要素として考えた時はメゾスケールが適当ではないか漆山氏はいう。さらにメゾスケールでの解析をする際のポイントが、損傷力学のダメージモデルを適用することだという。漆山氏はこれらを使ったいくつかの解析例を紹介し、ダメージモデルはクラッシュの解析にも有効で今後、発展が期待できるとした。
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