ホンダは、創エネルギー(創エネ)製品の展開を強化する。コージェネレーションユニットは、ガスエンジンに加えて、固体酸化物形(SOFC)燃料電池を用いるタイプの開発に着手した。さらに、東芝との提携によりスマートホームシステムの開発を加速させ、2015年に一般販売を始める。2013年に発売するプラグインハイブリッド車(PHEV)は、外部への電力供給機能を搭載する予定だ。
2016年度までに、二輪車で2500万台、汎用製品で800万台、四輪車で600万台、合計3900万台の販売を目指す事業計画を発表したホンダ(関連記事1)。同社の二輪車や四輪車は広く世間に認知されているが、汎用製品はさほど知名度が高いとはいえない。
ホンダの汎用製品は、1953年に発売した農業機械エンジン以降、発電機、耕運機、芝刈り機、除雪機、船外機など製品ラインアップを拡大している。最近では、家庭用カセットボンベで動く発電機「エネポ」や家庭菜園用のミニ耕運機「ピアンタ」などが記憶に新しい。
汎用製品の中でも事業が急拡大しているのが、創エネルギー(創エネ)系の製品群だ。例えば、ガス会社に提供しているガスエンジンコージェネレーションユニットや、子会社のホンダソルテックが販売しているCIGS(銅インジウムガリウムセレン)系太陽電池などがある。
ホンダはこれらの創エネ製品群の展開にも注力するために、2012年4月から汎用製品を扱う事業部の名称を、「汎用製品事業本部」から「汎用パワープロダクツ事業本部」に変更している。そして今回の事業計画において、汎用製品の販売台数を、2011年度の580万台から2016年度に800万台まで伸ばす上で中核に据えたのも、創エネ製品群である。
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創エネ製品群の主力となっているのが、ガスエンジンコージェネレーションユニットである。ガス会社が一般家庭向けに販売している、ガスエンジンコージェネレーションシステム「エコウィル」は、ガスエンジンによって高効率で発電を行うホンダのコージェネレーションユニットと、他の企業が開発した給湯暖房ユニットを組み合わせたものである。ホンダは、新型ガスエンジン「EXlink」の採用により、1次エネルギー利用率(電気エネルギーと熱エネルギー)を92%まで高めた第3世代ガスエンジンコージェネレーションユニットを2011年5月に投入するなど、エコウィルの販売拡大に貢献してきた(関連記事2)。
今回の事業計画では、停電時でも自立運転が可能なガスエンジンコージェネレーションユニットを、2012年秋から製品展開することが明らかになった。現行のコージェネレーションユニットは、発電機でありながら、停電時に発電できないという短所を抱えている。しかし、東日本大震災の発生以降、停電時でも利用可能な機能を搭載してほしいという要望がユーザーから寄せられていた。
さらに、燃料電池で発電するコージェネレーションユニットの開発にも着手している。日本特殊陶業と協力して、固体酸化物形(SOFC)燃料電池を用いたコージェネレーションユニットで世界トップレベルの発電効率を目指す。
ホンダが、燃料電池車向けに独自に開発した燃料電池は固体高分子形(PEFC)である。室温で動作するとともに車載可能なサイズに小型化できるPEFCに対して、SOFCは700〜1000℃の高温で動作させる必要があるものの、PEFCに必要な白金などの貴金属が不要で、発電効率が高いというメリットがある。日本特殊陶業は、このSOFC燃料電池の開発に注力しており、コージェネレーションユニット向けのものも開発している。
2013年春には、後述するスマートホームの実証実験ハウスで、このSOFC燃料電池を使ったコージェネレーションユニットの運用試験を行う予定だ。
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